薬剤師の知識をいかし治験コーディネーターとして働くことを考える
治験コーディネーターというお仕事を聞いたことがありますでしょうか。
治験コーディネーターはいつか何千、何万人と多くの人の役に立つことができるお仕事なのではないでしょうか。
どのようなお仕事なのかみていきたいと思います。
治験コーディネーターとは
治験コーディネーターが関わる治験とは、医薬品などが人の体に有効で安全であることを立証し、承認申請するための臨床試験のことです。
(臨床試験とは、新しい薬や治療法などを、人に対して実際に使用して効果や安全性を科学的に調べることです)
この治験が円滑に進行するように準備、調整、運営の支援を行うのが治験コーディネーターのお仕事です。
治験がスムーズに行われるよう、治験に参加する方の手助けをしたり、関係者のスケジュール調整をします。
CRC(Clinical Research Coordinator)とも呼ばれています。
治験コーディネーターの仕事内容とは
治験コーディネーターのおおまかな仕事としては、3つの段階に分けられます。
治験が始まる前の事前準備を行う
治験実施計画書(プロトコル)の内容を把握します。治験薬と対象の疾患について情報を集め、理解を深めます。
そして、関係者への説明会の資料作成や議事進行の補助を行います。
また、届けられる検査機器や検査キットなどを適正に管理して、治験に参加する方が病院に来られる際の準備をします。
実際の治験が始まってからの業務
治験に参加する方の募集とスクリーニング(選考)を行います。そして、治験参加者に事前説明を行う場に同席します。
また、参加者に渡す説明文書や同意書の作成をサポートします。参加者の来院日、検査、投薬予定日などのスケジュール管理や対応もします。
製薬会社に報告する「症例報告書(CRF)」を作成します。
また、治験中に参加者に好ましくない有害な反応が起こった時にも対応を行います。
治験の結果報告を行う
治験終了報告書を作成し提出します。
治験コーディネーターの勤務内容は、調整の業務やデスクワークがメインとなります。
治験参加者の服薬指導をしたり、治験に関する相談を受けたりすることはありますが、直接的なケアや医療行為を行うことはありません。
治験コーディネーターになるには
治験コーディネーターになるために資格は必要なし
治験コーディネーターになるために特定の学歴や資格は必要ありません。
けれど、医学や薬学、医療システムに関する知識と理解が欠かせません。
看護師、臨床検査技師、薬剤師といった医療系の国家資格を持っているひとが優遇されやすい傾向にあるようです。
また、薬剤師は、各種薬剤の基本的な知識をもっていて、新薬への理解も早く、治験の意図も把握しやすいようです。
治験コーディネーターとして働くには
治験コーディネーターとして仕事をする場合には、2つの働き方があります。
ひとつは治験施設支援機関(SMO)に所属する治験コーディネーターとして医療機関へと派遣される形です。
もうひとつは大学病院や研究センターなど医療機関に薬剤師として所属する形です。
そこで、治験コーディネーター業を行う(院内CRC)の2つのパターンがあります。
院内CRCは、もともと医療機関に所属している方が部署の異動によって携わることが多く、求人が外部に出ることは少ないようです。
新たに治験コーディネーターを目指す場合には、治験施設支援機関(SMO)に所属することが一般的な方法になります。
治験施設支援機関(SMO)は、治験を実施する病院やクリニックと契約し、治験の仕事をサポートする民間の企業のことです。
SMO業界は、大手企業をはじめ、現在40~50社ほどあるようです。
薬剤師が治験コーディネーターとして働くメリット・デメリットとは
メリット
- 土日祝日に休みやすい、また、長期休暇がとりやすい
- 自分自身の裁量で仕事ができて、スケジュール調整がしやすい
- 調剤薬局と比べると、立ち仕事が少ない
- 精神的な負担が減る(薬剤師として薬の処方はミスができず、責任が重い)
- 病院薬剤師の場合には、夜勤がなくなり、ひとりで不安な時に色々な薬について質問攻めにされることはなくなる
- 様々な立場、職種の方と一緒に仕事をするので、これまで以上に世界が広がる
- パソコン操作スキル、事務処理のスキルが磨ける、ビジネスマナーを身につけられる
- 治験に携わった新薬が世に出されたときに達成感を感じられる
デメリット
- 給与が下がる可能性が高い(病院などの医療機関や調剤薬局などに勤務されている薬剤師の方は給与水準が比較的高め)
- 将来的な年収も薬剤師より低くなる可能性がある
- 調剤業務には携われない
- 担当する施設や勤務する場所は選べないので、通勤時間が長くなる可能性がある
- 残業などもあり、不規則な生活になってしまいがち
- さまざまな人との関わりが多く、慣れるまでは大変で、人間関係の問題が付きまとう
- 書類作成や事務作業に慣れるまでは残業が増えてしまう(事務作業が苦手な方にとってはつらいと感じる)
- 新薬の開発に関わるため新しく勉強しなければいけないことが多い
まとめ
治験コーディネーターは、自らが前に出てというよりは、裏方の職業です。
薬剤師は薬に関してだけフォローをします。
CRCは薬だけでなく、治験に関する全てのことをフォローし、まるで医師の秘書のように働きます。
そこも薬剤師との違いではないでしょうか。
薬剤師として働くことも、治験コーディネーターとして働くことも、務める会社によってさまざま変わってきます。
さらに、収入面や休日のとり方、通勤時間や業務内容、やりがいまで大きな違いがあるようです。
自分の目指す働き方をしっかり考えて、お仕事を選んでみてはいかがでしょうか。
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