看護師の年収で悩んでいる人におすすめ「収入アップ」の方法
あなたの中の看護師の給料は、どんなイメージですか?仕事も大変で高そうというイメージをする方もいれば、意外と低そうと想像する方もいらっしゃるでしょう。
看護師は全国どこでも必要とされており、安定して仕事を得られるので人気の職業です。手に職があれば引越しや子育てなどのライフイベントにも対応しやすく、とくに女性に人気があります。
また、子どものころから看護師にあこがれていて看護師を目指した、という人も多いのではないでしょうか?
そんな明るいイメージの職業である看護師ですが、実際には仕事のハードさや思うように上がらない年収に悩んでいる人も多くいます。仕事の大変さと給料のバランスが悪いとモチベーションも下がり、仕事を辞めたくなってしまいますよね。
でも、せっかく取得した国家資格。活用しないのはもったいない!そこで、看護師として年収を上げるにはどうしたらよいのか?
看護師の年収をアップするためにできることを、特徴や具体的方法を挙げながら解説していきます。記事の前半と後半で、おすすめの転職ガイドのサイトも紹介していますのでぜひ最後まで見てくださいね!
看護師の年収の特徴
看護師の年収は、「初任給は高めだが、その後の昇給の幅は緩やか」というのが特徴です。どういうことなのか、詳しく見てみましょう。
看護師の平均年収は?
厚生労働省の調査によると、看護師の平均年収はおよそ508万円です。これは「令和4年賃金構造基本統計調査」を元に算出した額で、年間のボーナス、夜勤手当や残業代、その他各種手当を含んだ総額になります。(出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」より)
内訳としては、月収約35万円・ボーナス約86万円程で実際はここから所得税や社会保険料などが引かれた額が手取りとなります。看護師の平均年収がここ数年増加傾向にあることも分かりました。
初任給は高め
看護師は初任給が高めなことも特徴の一つです。日本看護協会によると、看護師の初任給は 月給26~27万円となっています。(出典:日本看護協会2022年病院看護実態調査)
勤続年数における昇給の幅は小さい?
ここまでのデータを見ると、「看護師の給料は高い」ように思いますよね。しかし、看護師の年収には「昇給の幅が小さい」という特徴があります。
こちらも「2022年日本看護協会病院看護助産実態調査」を元にデータを見てみましょう。上記で挙げた初任給と勤続10年の看護師の給与を比較すると、以下の表のようになります。
初任給 | 約26~27万円 |
勤続10年(非管理職) | 約32万円 |
この表から、勤続年数が上がっても、給与の上がり方がゆるやかということが分かりますね。
近年ではコロナウイルス流行による業務の負担が増えた一方で、業務量と賃金が釣り合わないと感じる看護師がいるのも現実です。2022年における勤務時間超過は5時間程で、時間外の勤務が多くあるのも現状となっています。(出典:日本看護協会2022年病院看護実態調査)
年齢別給与について
次に年齢別の給与金額を見ていきましょう。2021年の看護職員実態調査によると、下記の表のとおりでした。
年齢別 | 平均金額 |
20~29歳 | 215,566円 |
30~39歳 | 255,575円 |
40~49歳 | 291,388円 |
50~59歳 | 327,572円 |
60歳以上 | 323,100円 |
この表を見ると、「50~59歳」が最も給与が高く、その後「60歳以上」で減少しているのが分かります。また、年齢ごとの金額の上昇幅が4万円程ずつということも分かりました。
看護師の年収の悩み
年収の悩みの具体例として、看護師はハードな夜勤あってこその給与額、長く働いても昇給の幅は緩やか。という傾向があります。これにより、10年ほど看護師を続けていると「年々やること増えて仕事がハードになるが、年収はあまり上がらない」という悩みが出てきます。
勤続年数が増えても、役職につかなければある程度の年収で打ち止め。先ほどのデータを比べてみても、30歳前半までは他の職種より看護師の給与のほうが高いですが、その後は看護師の年収はあまり上がらず看護師の給与の方が低い状態が続きます。
看護師って年々やることが増えてく割には年収は一向に上がらない。夜勤は大変だけど、夜勤をやらなかったら色々引かれて手取りが…。
勤続年数が10年を超えたころから、周りの同年代と比べて、仕事のハードさや給与の低さに悩む人が増えるようです。
看護師の年収を上げる方法
では、そんな看護師の年収を少しでも上げる方法はないのでしょうか?
看護師の年収を上げるには、
- 昇給に有利な資格を取る
- 管理職を目指す
- 転職をする
これらの方法が有効です。それぞれを詳しく見ていきましょう。
昇給に有利な資格を取る
専門職である看護師には、さらに専門的な内容の資格が2つあります。どちらも簡単に取れるものではありませんが、キャリアアップと給与アップを目指して挑戦してみましょう!
認定看護師
認定看護師とは、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが日本看護協会より認められた看護師です。
認定看護師は特定の看護分野において、以下の3つの役割を果たします。
1.個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
2.看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
3.看護職等に対しコンサルテーションを行う。(相談)
引用:公益社団法人 日本看護協会
認定看護師になるためには、
- 看護師免許を持っている
- 実務研修が通算5年以上ある(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
が条件として必須です。さらに、日本看護協会が定める認定看護師教育を受けた後、認定看護師認定審査に合格してはじめて資格を得ることができます。
認定看護師教育は615時間以上(期間としては半年)あり、授業は平日の昼間に行われるのが普通です。そのため、多くの人は仕事を一度休職したり、長期出張扱いにしてもらったりして学びます。
試験の難易度自体はそれほど高くはなく、きちんとカリキュラムに沿って学べば合格率は90%以上となっています。
しかし、勉強期間の調整や、近くに教育機関がない場合は引越しをする必要があることから、ハードルの高い資格といえるでしょう。資格取得後は、5年ごとに資格の更新が必要です。
専門看護師
専門看護師は、水準の高い看護を効率よく行うための技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師です。
専門看護師は、専門看護分野において以下の6つの役割を果たします。
1.個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
2.看護者をを含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
3.必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
4.個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。(倫理調整)
5.看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
6.専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。(研究)
引用:公益社団法人 日本看護協会
専門看護師になるためには、
- 看護師免許を持っている
- 看護系大学院修士課程修了者で所定の単位を取得していること
- 実務研修が通算5年以上ある(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
- 年に1回実施される認定審査に合格すること
が必須です。
専門看護師は大学院に2年間通うことが必須条件となるため、大学院に通っていなかった人の場合は、現在の職場を休職して大学院へ通わなければなりません。
また、5年ごとに更新(看護実践の実績、研修実績、研究業績等書類審査)する必要がありますが、実務経験を積みつづけていなかったり、専門分野の研究を怠っていたりすると、資格更新がされないこともあります。
専門看護師は常にエキスパートであり続けることが求められているんですね。
待遇の整備はまだ不十分
専門看護師、認定看護師ともに1990年代にできた新しい資格のため、資格に対する処遇が未整備の病院が半数以上あります。そのため、資格に対する給与面での評価が適切にされていないケースが多いのが現状です。
特定の分野に対して専門的な知識を持つ看護師を必要としている病院もあります。国立病院機構や医療法人系の病院などに多く、そのような病院では手当の支給率が高くなっています。
- いま勤務している病院では、どんな分野の資格が必要とされているのか?
- 資格に対する手当など、処遇の変化はあるのか?
これらをよく確認しましょう。資格取得を機に、自分の目指す専門分野で活躍できる病院への転職を考えるのもおすすめの方法です。
転職をするにあたり、悩んでいる方も多いでしょう。下記におすすめの転職サイト活用ガイドを記載しましたので、ぜひ活用してくださいね。
管理職を目指す
看護師の管理職としては、主任・看護師長・看護部長などのポジションがあります。
研修・試験を受けることで、段階的に昇進していきます。それぞれのポジションでの経験も不可欠で、人をまとめる力やマネジメント能力が必要です。
看護師として管理職への昇進を目指すメリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット
- 役職手当が付く
- 夜勤など体力的にハードな仕事が減る
- 行える権限が大きくなり、看護の質の向上などに寄与できる
- やりがいが増える
デメリット
- そもそもポジション自体が少ない
- 管理者として責任が重くなる
- 夜勤手当がなくなる分、給与額としてはあまり増えない可能性もある
では、役職によって給与はどのように変化するのでしょうか?
日本看護協会のデータによると、各役職の基本給与の平均は以下のようになります。(出典:日本看護協会 労働政策部「協会ニュース Vol.570(2015.1.15)」)
非管理職員 32.3万円
主任 32.7万円
看護師長 37.9万円
看護部長 42.8万円
昇進にともない基本給は上がる傾向にあり、昇進は給与アップのためのひとつの方法といえるでしょう。
しかし、看護師の給与は夜勤手当の占める割合が大きいため、「今までの夜勤手当の額 >役職手当の額」となった場合、年収としては上がらない可能性もあります。
実際、看護師長と非管理職員の基本給与額が逆転している病院が14.7%あるというデータもあります。(出典:日本看護協会 労働政策部「協会ニュース Vol.570(2015.1.15)」)
夜勤手当や役職手当は勤めている病院によって異なるので、確認してみましょう。
年収を上げるだけでなくマネジメントや経営にも興味がある人や、看護の現場の改善等に魅力を感じる人におすすめです。
転職をする
転職は一番早く、確実に給料アップすることができる方法です。年収アップを目指す転職先としては、以下の4つがおすすめです。
規模が大きな病院
看護師の給与は、病床数の多い病院ほど高い傾向があります。「2022年 病院看護実態調査」によれば、勤続10年・31~32歳、非管理職の看護師の月額給与は以下のようになっています。
【勤続10年、31~31歳、非管理職の看護師の平均税込給与総額】
平均税込給与総額 | |
99 床以下 | 311,133円 |
100~199 床 | 319,479円 |
200~299 床 | 322,252円 |
300~399 床 | 336,987円 |
400~499 床 | 341,150円 |
500 床以上 | 354,173円 |
病院の規模が大きいほど給与が高いのが分かりますね。また、大規模な施設では労働組合の活動がしっかりとしている傾向にあり、看護師を含めた労働者の賃金や労働条件が良い傾向にあります。
いま規模の小さい病院に勤めている人は、大規模な病院への転職を目指すのもおすすめです。後半で転職ガイドのサイトを紹介していますので、ぜひ活用してくださいね。
自由診療を取り入れている美容外科や婦人科
自由診療では、クリニックが自由に治療費などを決めることができます。そのため、人気のある自由診療のクリニックでは、クリニックの収益がとても高くなります。
クリニックの経営状態がよいと、その分そこで働く看護師やスタッフの給与も高いことが期待できます。
おすすめの自由診療クリニックは、美容系クリニック、レーシックを行う眼科クリニック、不妊治療専門クリニックなどです。
ただし注意点もあります。美容系の場合、看護師にも化粧品の売り上げなどのノルマを課す場合もあります。うまく成績を上げることができればインセンティブが得られますが、人によってはノルマは負担となるでしょう。
また、このようなクリニックの患者には「お客様として対応してほしい」という意識が強い傾向があるため、お客様の満足度が高くなるような接客やマナーが必要になります。
保健師(要資格)
保健師になるには、看護師免許に加えて保健師国家試験に合格する必要があります。また、受験には、所定の保健師養成課程(1年以上)を修了しなければなりません。
看護師と保健師には以下のような違いがあります。
| 仕事内容 | 勤務地 |
---|---|---|
看護師 | 病気やケガの治療が目的 | 多くは病院 |
保健師 | 「予防医療」が主な仕事 | 保健所や健診センター、健康保険組合、学校など |
さらに、保健師は働く場所により、以下のように分けられます。
行政保健師:公務員として、保健所や地域の保健センターなどの行政関係の施設に勤める
産業保健師:企業に就職して社員の健康管理を行う
学校保健師:学校で児童・生徒・教職員の健康保持活動を行う
病院保健師:病院で健康診断や健康相談を行うほか、通常の看護師の仕事と兼務する場合もある
産業保健師を置いている企業は大企業である場合が多く、給与や福利厚生の面で優れていると期待できます。ただし、給与は職場により違いがあるので、転職先を探す際によく確認しましょう。
保健師は基本的に夜勤がなく、劇的に年収アップをしない場合でも「給与アップ+働き方の改善」が見込めます。ワークライフバランスを大切にしたい人におすすめです。
外資系CRC(治験コーディネーター)
CRC(治験コーディネーター)は医療機関・製薬会社・被験者の間に立ち、スムーズに治験が進行するよう調整する仕事です。
治験を支援する民間企業である「治験施設支援機関(SMO)」に所属し、医療機関へ派遣される形が一般的です。
具体的な仕事内容
- 治験業務フローの作成・治験のスケジュール調整
- 被験者への説明・被験者の相談窓口の担当
- 診察、検査の立会い
- 被験者・医師や院内スタッフ・臨床開発モニター(CRA)との連絡
- 治験実施状況の報告(モニタリング報告書や治験終了報告書の作成)
CRCになるために必要な資格はありませんが医療や薬剤に対する知識が必要となるため、看護師の資格や知識は有利になる場合があります。
就職先の企業には日本の企業と外資系があり、給与面でいえば外資系のSMOがおすすめです。
35歳前後がCRCへの転職の募集の期限といわれており、それを越すと求人自体がほとんどなくなってしまうのでご注意ください。
看護師の転職なら、専門の転職サイトがおすすめ
ここまで転職の話をしてきましたが、看護師の転職には「看護師専門の転職サイトの利用」がおすすめです。
専門の転職サイトなら看護師に特化しているので、たくさんの看護師向けの求人案件から希望に合った案件を紹介してもらえます。また、看護師転職のプロにサポートしてもらえるのも大きなメリットです。
サポートには、履歴書添削や面接対策なども含まれており、初めての転職でも安心して進めることができます。給料や勤務希望などの条件交渉を代行してもらうこともできるので、助かりますね。
おすすめなのは、2つ以上のサイトに登録すること。複数のサイトに登録することで、より多くの求人情報を集めることが出来ます。
転職の成功のカギは情報収集と、しっかりとした事前準備です。
看護師専門の転職サイトを最大限に活用し、希望に合った転職先を見つけましょう。
看護師の転職サイトについては、【看護師の転職サイトおすすめランキング9選】転職サイト活用ガイドも参考にしてみてください。
まとめ
看護師は医療現場を支える重要な仕事です。
やりがいがある反面、働く現場によって勤務内容・勤務時間や休日・給与などがまるで違い、なかなか納得のいく職場に出会えないのも現実です。
でも、せっかく取った看護師免許を活かして働けるのが理想的ですよね。ぜひ、一歩踏み出して自分の希望に合った職場を見つけてください。