病理医はどうして少ないの?目指す人が少ない理由3選を挙げてみた

「病理医」がどんなお仕事をしてるかご存知でしょうか。

悲しい事に一般的に認知されていない為、知らない人がほとんどかと思います。

2017年に芦田愛菜さんがテレビ番組で「今の将来の夢は、医者ではなく病理医になりたい」と話し、話題になりました。

病理医とは、「疾患の確定診断」をする医師のことです。

分かり易く説明すると、病気の原因になっている細胞や組織を採取し、顕微鏡で観察し、癌かどうか判断するお仕事になります。

「Doctor’s Doctor」とも呼ばれておりとても重要なお仕事ですが、他の専門医に比べ不足している事はご存知でしょうか。

この記事では、病理医って需要があるのか、またなぜ少ないのか理由を挙げてみました。是非参考にしてみて下さい!

そもそも病理医って需要があるの?

2022年12月6日現在の病理医は2726名でした。同年の公益社団法人全日本病院協会の統計によると、男性医師数が26万2,077人で、女性医師数は7万7,546人でした。

この統計を見ても分かる通り、医師に比べ病理医がかなり少ない事が分かります。それは病理医があまり必要とされてないからでしょうか。

いいえ、全くそんな事はありません。むしろ危機的に不足している状況なんです。

日本は他の先進国と比べ、高齢化のスピードが速いと言われており、癌の死亡者が年々増え続けています。

引用元:山梨県立中央病院「高齢者とがん」より

その為、日本は「癌大国」と呼ばれているほどです。

そんな癌大国の日本には、一刻も早く癌かどうか判断し、正しい治療方法を指示できる病理医が必要不可欠です。

将来は2人に1人が癌を発症する可能性があると言われており、ますます病理医の需要が増えていくことは間違いありません。

では、なぜ病理医が少ないのでしょうか。主に3つの理由を挙げてみました。

理由その①病理医になるまでのハードルが高い

まず病理専門医になるには、医師免許を取得したら、2年間の臨床研修で様々な病状に立ち会うことが前提になります。

そして、3年以上かつ5000件以上の病理診断、50件以上の術中迅速診断、1000以上の細胞診断、人体病理学における3編以上の学会発表などが必要になります。

これらの経験を積み、日本病理学会が定める専門医試験に合格しなければ、病理医になることはできません。

このように病理医になるまでの道のりが長いのが、目指す人が少ない最大の理由かと思われます。

研修や臨床経験、病理解剖などの経験を少なくするなど、ハードルを下げれば目指す人が増え、病理医を確保できるかもしれません。

しかし、病理医になるためのハードルを下げる事は、すなわち日本の医療水準の質を落とすことにつながり、今後も水準を落とす事はないと言われております。

病理医の世界では42歳が若手と認識されています。つまり、それだけ経験年数や実績を積まないと一人前にはなれない職業なんです。

理由その②患者さんを直接診療する事がない

病理医は医療現場で患者さんと接する事がない為、医学生にとっては「医者っぽくない」と思われたり、「医師の為の医師」という表舞台には立たない裏方の認識が強いようです。

その為、医学生の時から将来のキャリア形成を考える時、そもそも「病理医」という選択肢を考えない方が多いようです。

多くの医学生は「患者さんと接して医療を行いたい」と思っている中、裏方に徹する病理医は、人気がないのかもしれません。

余談ですが、医学生にとって「病理」は疾患名を多く暗記しなければならない科目であり、更に見慣れない顕微鏡を見させられるとアレルギーを起こす人も多くいるようです。

理由その③病理診断費用が低く設定されている

患者さんの治療方針を決定するとても重要な病理診断ですが、現在の保険制度では、病理診断費用が低く設定されているのも病理医が増えない理由の1つかもしれません。

病理解剖は全て病院側の負担になります。

その為詳細な診断をしようとすると、時間と手間がかかり病院経営の観点からすると赤字になる可能性すらあります。

つまり、病理医は必要なのに、多く確保すればするほど病院の負担が多きくなり経営を圧迫してしまうのです。

医療は儲けるための商売ではありませんが、「病理医がやっと確保できたのに経営が傾いてしまった」では本末転倒ですね。

まとめ

いかがでしょうか。病理医が不足しているにも関わらず、病理医になるためのハードルが高かったり、そもそも現在の保険制度では病理診断費用が低く設定されてたりと矛盾に感じますよね。

そんな中一般社団法人「日本病理学会」では、なんとか病理医を増やそうとさまざまな努力をされております。

「病理医になるには?」もマンガにして分かり易く説明しています。是非ご覧ください。

また、病理医への転職を考えている方や、病理医から臨床医に転職を考えている方は、是非「転職エージェント」に相談してみて下さい。

民間医局は創業26年の実績と全国17拠点の地域密着型で、初めての転職でも転職エージェントが優しく丁寧に対応してくれると評判です。

最後まで記事を読んで頂き、ありがとうございました。

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