チーム医療に必要とされる薬剤師を徹底解説!その役割と貢献度は?
病院で、医師、看護師、薬剤師などのさまざまな医療職種が多様な場面で関わり合い、患者さんに適切な医療を提供していくことを「チーム医療」といいます。
薬剤師は、チーム医療には欠かせない存在です。
今回は、病院で働く薬剤師にとって、チーム医療の一員を担うその大きな役割や貢献度を、詳しく解説していきます。
Contents
チーム医療を担う薬剤師の役割
チーム医療の目的は、さまざまな医療職種が互いの専門性を尊重し、患者さんにとって最善の治療を行うことです。
その中でも、薬剤師は薬物治療において大きな専門性を発揮します。薬物投与の設計や適正な使用、副作用の管理など薬剤師特有の業務となります。
薬物療法は有効性が高いですが、十分な知識を有していないと患者さんに悪影響を与えてしまう場合もあるので、日々、専門分野のアップデートが必要になります。
チーム医療における薬剤師は、医師や看護師などの医療スタッフと協力し、患者さんに適切な薬物療法を行う役割があります。
また、総合的な薬剤管理を行い、医師等の業務負担軽減にも貢献しています。
チーム医療で薬剤師に求められるスキル
薬剤師に求められるスキルのなかでも、特に大事なのは、コミュニケーション能力です。
なぜなら、コミュニケーション不足は重大なミスや医療事故にも繋がる恐れがあるからです。
コミュニケーション能力は、相手の立場に立ちながら、「伝える」を重要視します。
ですが、チーム医療におけるコミュニケーションでは「話を聞く」がより重要となります。
同職種であれば、言葉足らずでも相手の意図がある程度は分かります。
しかし、職種が違う場合は、仕事の内容や考え方が違うため、「正しく聞き、理解する」が求められます。
お互いが相手を理解しあえるように、日ごろからのコミュニケーション能力アップが必要となります。
チーム医療で貢献できる、薬剤師としての強み
チーム医療で活躍する薬剤師は、カルテ上で患者さんの状態を判断します。
また、患者さんのリアルな声や薬の反応を見ながら、薬剤師として助言できることは、大きな強みでもあり、患者さんから高い信頼を得られるでしょう。
チーム医療における効果とは
チーム医療のメンバーが、それぞれの専門性を発揮することは、患者さんの病気の回復や、疾患の早期発見に繋がります。
また、一人の患者さんを各分野からアプローチしていくことで、質の高い医療を提供できるだけでなく、医療ミス防止にも繋がります。
医療を提供するスタッフ側にもメリットがあり、チーム医療は業務効率が良く、業務負担の軽減や、安全性の向上が見込めます。
チーム医療ではそれぞれの職種が、分野の境界を超えて協力、協働していきます。
チーム医療の問題点
チーム医療だからこそ起きる問題点もいくつか存在します
- 多職種への理解
専門職同士がお互いの仕事内容をよく理解していないことにより、業務の境界が曖昧になり、チーム医療全体に支障を来す場合があります。
- 情報共有のための時間
チームで患者さん個々に対応していくためには、スタッフ間の情報共有のためにカンファレンス等が必要不可欠となります。
しかし、現状ではカンファレンス等に費やす時間が取りにくく、チーム協働に支障が出ている場合もあります。
各チーム医療における薬剤師の業務
チーム医療には患者さんの状態に合わせて、さまざまな医療分野のチームが存在します。
それぞれに目的や役割が違いますが、患者さんのためにという点では共通しており、専門の医療スタッフがチームとして協働します。その一例を紹介します。
栄養サポートチーム(NST)
病気や治療によって栄養状態が低下した患者さんに対し、適正な栄養管理を行っていくチームです。
その中で、薬剤師は投与する栄養剤や医薬品、輸液を適正に使用します。
また、病態に応じた医薬品の処方提案や副作用のコントロールを行い、身体の改善を図り、合併症の予防にも努めます。
感染制御チーム
病院内において、患者さんや家族だけでなく、すべての医療スタッフ対象に、院内感染を未然に予防し、感染症に対する教育や医薬品管理等を行うチームです。
その中で、薬剤師は主に消毒薬や抗菌薬の使用に関する指導を中心に行います。
また、感染対策マニュアルを作成したり、院内スタッフに対する衛生管理の教育、啓発活動を行います。
褥瘡対策チーム
褥瘡は床ずれとも呼ばれる皮膚の潰瘍のことで、寝たきりの患者さんや、長時間車いすを使用している人が発生しやすくなります。
体の一部分が長時間圧迫されると、皮膚がただれたり、傷ができてしまいます。
この褥瘡対策チームでは、褥瘡を予防し、発見したならば早期に治療を行い、再発を予防します。
その中で、薬剤師は主に、褥瘡に対する使用薬の処方提案や外用薬について、チームスタッフに説明を行ったりします。
周術期管理チーム
周術期とは術前から術後の期間のことで、手術を受ける患者さんとそのご家族に対し、各医療スタッフが協力して、安全な手術と術後のケアを行います。
チームの中での薬剤師の主な仕事は、周術期の患者さんの薬剤管理や見直し、休薬や再開についての整備を行います。
精神科リエゾンチーム
入院中の患者さんが、精神面で何かしらの問題を抱え、症状が起きた場合に、身体的治療と精神的治療を行う必要があります。
各担当科医師をはじめとするスタッフと連携しながら専門的治療を施していき、原疾患の治療が円滑に行える支援をしていきます。
精神科チームの薬剤師は、患者さんの服薬や薬物の作用確認、副作用管理を行い、適正な処方の提案をします。
また、薬の服用に関して、患者さんに十分な説明を行います。
緩和ケアチーム
余命宣告を受けた患者さんや、治療が困難な病気を持つ患者さんに対し、専門的にアプローチをしていくチームです。
主に痛みや吐き気等の身体的症状や、病気による落ち込み等の精神的症状のある患者さんの苦痛を和らげ、安心して治療に取り組めるようにします。
このチームでは、早い段階からのQOL(人生の質)の改善が役割となっています。
チームの中での薬剤師は、患者さんの状態を評価し、薬の作用や特性、保険適用等を考慮しながら治療計画を立てていきます。
多職種連携の中で働く薬剤師への大きな期待とは
医療、介護、福祉に至るまでの専門職が連携、協力して患者さんや利用者にトータル的なケアを施していくことを他職種連携といいます。
その多職種連携の活躍が期待できる場は、病院内だけではありません。在宅医療や介護現場でもさまざまな活躍の場があります。
その中でも、薬剤師は病院内や調剤薬局で働いている印象がありますが、実は薬局に行けない患者さんに薬を届けたり、服薬状況の確認を行ったりします。
また、在宅で治療している患者さんの中には、薬に関して相談ができない人も多々います。
薬剤師はこういった問題に対応していくために、患者さんと十分に対話し、情報を得ながら医師等に提案をしていきます。
このように薬剤師が直接患者さんとコミュニケーションをとり、他職種と連携しながら対応していくことは、薬剤師に対する大きな期待にもなっています。
今後、薬物療法の発展やジェネリック医薬品が普及していく中で、安全性の面からも薬剤師の役割が大きく期待されていきます。
チーム医療の一員としてのやりがい
チーム医療のスタッフとして得られるやりがいや充実感について、実際の現場で働く薬剤師の感想をまとめてみました。
・患者さんのために他の医療従事者と肩を並べて働けることに、チームとしてのやりがいを感じられます。
・日常的にさまざまな医療従事者と関われるため、最新の医療情報が入ってくるようになります。
・医療における自分の考えについて、チームの中で議論できます。
・一人の患者さんに複数回関われるので、徐々に回復していく様子を見れます。
このように、さまざまなやりがいを感じながら、患者さんのために協働できる仲間も得られます。
まとめ
今回は、チーム医療に携わる薬剤師について、詳細に解説していきました。
この記事を読まれる方の多くは、薬剤師として病院で働くことを考え、チーム医療に興味を持っている方だと思います。
そのような方たちの手助けになれれば幸いです。
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