病院薬剤師と薬局薬剤師の違いは何? 仕事内容や年収事情をご紹介

薬剤師の有資格者は病院薬剤師または薬局薬剤師として働く方が多くいます。

厚労省の調査でも薬局は58.9%、 医療施設の従事者は19.3%と全体の8割近くが薬剤師として働いています。

これから薬剤師として働くことを考えている人はどのように違うのかが気になるのではないでしょうか。

病院薬剤師と薬局薬剤師はそれぞれどのような業務を担っているのか、どのようなスキルが必要になるのかをご紹介いたします。

また年収事情やキャリア形成についてもこの記事で触れていきます。

病院薬剤師と薬局薬剤師で違う仕事とは?

まず病院薬剤師と薬局薬剤師の仕事内容を見てみましょう。

業務病院薬剤師薬局薬剤師
調剤業務
製剤業務(院内製剤)
注射調剤業務・注射薬混合調製業務
救命救急業務×
医薬品情報業務
医薬品管理業務
治験業務×
病棟薬剤業務
薬剤師外来
専門薬剤師
チーム医療

政府は2025年問題に対し、末端地域医療保護と医療費の増加を抑えるために様々な対策を講じています。

この2025年問題は医療、介護、そして薬剤師にとっても大きな影響を及ぼすことになります。

政府も薬剤師の業務範囲を見直し、医師と連携した業務が行えるように進めています。

今後も薬剤師の業務は変化するため、日々業務をアップデートしながら従事することになるでしょう。

病院薬剤師が求められる仕事

従来は病院薬剤師のみが取り扱っていた注射調剤業務・注射薬混合調製業務やチーム医療についても薬局薬剤師が連携して対応することが可能になりました。

病院薬剤師のみが取り扱う業務としては病院での治験業務と救急救命医療が大きな部分となります。

また、院内製剤についても市販されていない医薬品を使用するため薬剤師として重要な業務です。

薬局薬剤師が求められる仕事

薬局薬剤師のみが取り扱う業務ではまず医療現場では利用されていない幅広いOTC医薬品への知識が求められます。

高齢化に伴う地域医療を補うために政府が構築を目指す「地域包括ケアシステム」においても薬局薬剤師は重要視されています。

薬局・薬剤師を患者の「かかりつけ」として利用することが期待され、患者の病状や生活の把握が必要になります。

在宅医療をしている患者に対して訪問調剤や訪問服薬指導などを行うため、従来の薬品と調剤を中心とした業務からコミュニケーションを主体とした業務へ変化しつつあります。

病院薬剤師と薬局薬剤師に求められるスキル

病院薬剤師が求められるスキル

病院薬剤師は医師や看護師と連携して患者への対応に当たることが多くなります。

コミュニケーションはもとより疾患や病院でしか扱わない医薬品への幅広い知識が求められます。

そして夜勤や救命救急業務に携わるため、丈夫な体力と精神力も必要になります。

キャリアアップを目指すのであれば病院薬剤師が取得できる認定資格・専門薬剤師の勉強も必要でしょう。

薬局薬剤師が求められるスキル

薬局薬剤師に求められるのはOTC薬品はもとより、健康食品やサプリメントなどに対する知識も必要です。

病院での診断を受けていない患者も来訪するため、症状などを的確に聞き出すコミュニケーションスキルが求められます。

また、訪問調剤や訪問服薬指導で常に患者と触れ合うことになるため、訪問先で卒なく受け答えができる柔軟性が必要になります。

薬局チェーンやドラッグストアでは管理薬剤師を経てエリアマネージャへを目指すこともでき、店舗や人材を管理するマネジメントスキルが必要になります。

病院薬剤師と薬局薬剤師の年収

病院薬剤師と薬局薬剤師では年収に若干の差があります。

厚生労働省のデータでは生涯年収については差が少ないものの、病院薬剤師は20~30代での賃金が抑制され勤続による上昇が大きい傾向があります。

病院常勤薬局常勤
20代380万円430万円
30代500万円530万円
40代600万円600万円
50代700万円600万円
60代600万円577.5万円
参考:第13回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 薬剤師の偏在への対応策 厚生労働省 を元に作成

薬局薬剤師も管理薬剤師と一般の薬剤師が合計されていますがその年収の差は大きく、同じ店に勤めていても200万前後の差があります。

それぞれのキャリアプラン

薬剤師としてキャリアップする方針としては「管理職」と「専門職」という考えがあります。

病院薬剤師の管理職といえば主任など薬剤師を統括する立場となり、薬局薬剤師であれば管理薬剤師やエリアマネージャとして薬局をまとめることになります。

薬剤師として専門性を高めるのであればがんや感染症などの認定薬剤師の資格を取得して業務の幅を広げることが可能です。

その他臨床心理士や労働衛生コンサルタントといった資格を複合的に取得し、著書や講演といった方法で薬事を広める活動を行います。

一朝一夕には出来ない仕事なので計画性をもってキャリア構築を考えていきましょう。

まとめ

以上、病院薬剤師と薬局薬剤師の違いをご紹介しました。

それぞれの業務の違いや目指すべきキャリアの方向性を探す手助けになりましたでしょうか。

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