はじめて聞いた人でもわかる!認定看護師と専門看護師とは?
看護師さんといえば誰でもすぐに想像することができて、大まかな仕事内容であればわかると思います。
しかし《認定看護師》《専門看護師》という言葉自体初めて聞く人や、聞いたことはあるけれどいまいちどんな仕事内容なのかわからないと思います。
そんな人たちや、今から認定看護師や専門看護師を目指す人たちにもわかりやすく解説していきます。
認定看護師・専門看護師とは
認定看護師
日本看護協会《認定看護師認定審査》に合格し、特定の看護分野の熟練した技術と知識をもっていると認められた看護師です。
認定看護師は、患者さんへ質の高い看護をおこないます。
役割
深い知識と熟練した看護技術で質の高い看護を提供できると認められた看護師です。
看護実践を通して後輩指導などの役割も任せられるようになります。
自分だけでなく、職場全体をサポートすることも大切です。
看護現場のスペシャリストです。
- 実践
専門的な治療や看護が必要な患者さんとご家族に対して最適な看護は何か、認定看護分野の専門知識に基づき判断し実践する。
- 指導
他の看護師に対して、自らが手本になり専門知識や看護技術などを指導して水準の高い看護を行えるように働きかける。
- 相談
看護の現場で直面する問題や疑問の相談に乗り、改善策を導き出せるよう認定看護分野の専門知識に基づき支援する。
参考:日本看護協会「認定看護師ってどんな看護師?」より作成
専門看護師
日本看護協会《専門看護師認定試験》に合格し、患者さんやそのご家族などに対して質の高いケアをするために特定の分野の知識や技術を持っていると認められた看護師です。
専門看護師は患者さん本人の看護だけでなく、患者さんのご家族や地域などとも連携してトータルでケアをおこないます。
そして、現場の人材育成・調整など一般看護師の時とは違った仕事などもするようになります。
役割
- 実践
複雑で困難な課題を抱える患者さんやご家族の、病気とその背景にある不安や葛藤などの様々な要因を総合的に捉え、どのような看護が必要か判断して実践します。
- 相談
患者さんとご家族のよりよい看護を行うにはどのような看護が必要かなど、他の看護師や他の医療職の相談に乗り、専門知識を活かしたアドバイスを行って問題の解決を図る。
- 調整
療養の場が病院から自宅に移行しても必要な医療を円滑に受けられるよう、医師や看護師、地域の訪問看護ステーションやケアマネジャーなど、様々な職種・施設に働きかけて調整し、連携を推進する。
- 倫理調整
治療方針の決定など倫理的問題が生じやすい場面に関わり、患者さんとご家族の思いを尊重して治療や療養を行えるよう、ほかの看護師や医師等、関係する人々に働きかける。
- 教育
専門知識や技術に基づき他の看護師に教育を行い、施設全体や地域の看護の質の向上に努める。
- 研究
日々の看護における課題を研究対象として捉え探求する。研究成果を実践に還元することで、看護の質の向上に貢献する。
参考:日本看護協会「専門看護師ってどんな看護師?」より作成
種類(看護分野)
認定看護師と専門看護師とでは、仕事内容や働き方にも違いがあります。仕事内容は看護の分野によって同じ認定看護師や専門看護師でも変わってきます。
認定看護師
認定看護師は現行21の分野に分かれていますが、2027年から新しい19の分野へ完全移行されます。2020年から新分野の教育が開始されています。そのため新しい19の分野を載せています。
なので新しい19の分野を記載しています。
分野 | 仕事内容 |
---|---|
感 染 管 理 | ・患者さんや来院者と医師や看護師など病院に関わる全ての人を感染から守る。 ・感染のリスクを最小限におさえる。 ・感染管理を計画し、実践し、評価する。 ・提供するサービスの質を高める。 |
が ん 放 射 線 療 法 看 護 | ・患者さんやご家族の治療に関する意思決定を支援する。 ・治療と生活が両立できるように寄り添う。 ・治療の効果が最大限にでるように患者さんの不安を軽くし、症状を和らげる。 |
が ん 薬 物 療 法 看 護 | ・患者さんやご家族の意思決定を支援する。 ・療養生活を支援する。 ・患者さんが薬物治療で生じる副作用症状の予防を知る。 ・患者さんがセルフケアをできるようにサポートする。 |
緩 和 ケ ア | ・痛み、吐き気、倦怠感などの症状を知りケアする。 ・生活や死に対する精神面のサポートする。 ・患者さんやご家族の意思決定を支援する。 ・家族が感じる喪失や悲嘆の対応をする。 |
ク リ テ ィ カ ル ケ ア | ・急性期の患者さんの重篤化を回避する。 ・安全で苦痛の少ない早期回復に向けたサポートをする。 ・患者さんのご家族の不安や恐怖などのサポートをする。 |
呼 吸 器 疾 患 看 護 | ・呼吸症状にあったケアを提供する。 ・重症化を予防する。 ・患者さんの持つ力を引き出し生活の質を向上を目指す。 ・症状を知り、緩和する。 ・在宅療養の患者さんの不安を解消する。 |
在 宅 ケ ア | ・生活の質を保てるように訪問し、在宅ケアをサポートする。 ・患者さんが抱える問題を解決できるように導く。 ・在宅療養へ移行のサポートする。 |
手 術 看 護 | ・手術前から退院までのケアをする。 ・手術中の患者さんの急変や緊急事態の対応をする。 ・二次的な合併症の安全な処置を行う。 |
小 児 プ ラ イ マ リ ケ ア | ・重篤な子供などの重症化を予防する。 ・的確なトリアージをする。 ・家でもケアの指導をする。 ・虐待の予防と早期発見をする。 ・子どもの事故を防止する。 ・安全で適切な気管カニューレ交換を行う。 |
新 生 児 集 中 ケ ア | ・ハイリスクな新生児の急性期の管理と個別のケアをする。 ・家族形成のお手伝いをする。 ・虐待のリスクに関する予測と予防を行う。 ・安全で適切な気管カニューレの交換を行う。 |
心 不 全 看 護 | ・心不全症状のモニタリングを行う。 ・重症化を予防する。 ・地域での療養生活の支援をし、調整を行う。 ・症状の緩和に向けた管理。 ・持続点滴中の薬剤の安全で的確な投与量の調整をする。 |
肝 不 全 看 護 | ・症状悪化の予防と早期発見。 ・症状の管理とセルフケアのサポートをする。 ・患者さんの自己決定などの支援をする。 ・安全で的確な透析の管理をする。 |
生 殖 看 護 | ・専門知識に基づいた妊娠するために必要な能力の評価をする。 ・患者さんの意思決定の支援をする。 ・妊娠に必要な能力の温存と受胎調節についての指導を行う。 |
摂 食 嚥 下 障 害 看 護 | ・食べ物を認識し口に取り込み咀嚼し咽頭・食道を通り胃へ送りこむ一連の機能の評価と、適切な援助と訓練をする。 ・誤嚥性肺炎や窒息などを防止するための管理を行う。 |
糖 尿 病 看 護 | ・血糖の管理をする。 ・透析予防と療養生活の支援を行う。 ・予防的なフットケアを行う。 ・安全で的確なインスリンの投与量を調節する。 |
乳 が ん看 護 | ・手術後の合併症を予防する。 ・緩和を目的とするケアを行う。 ・患者さんの意思決定の支援をする。 ・治療に伴う女性性と家族の支援を行う。 ・乳房検診と乳がん治療関連の合併症の予防と管理を行う。 |
認 知 症 看 護 | ・認知症症状の管理 ・療養生活の環境を整える。 ・コミュニケーション手段を提案する。 ・患者さんの意思決定の支援をする。 ・社会的、心理的な支援を行う。 |
脳 卒 中 看 護 | ・重篤化を回避することを目的とする管理とケアを行う。 ・早期にベットから離れ活動できるように支援する。 ・福祉や医療などのサービスと繋げる。 ・患者さんの意思決定の支援を行う。 |
皮 膚 ・ 排 泄 ケ ア | ・褥瘡の総合的な管理を行う。 ・ストーマケアや専門的な排泄管理を行い、スキンケアをする。 ・自宅などへ訪問し、指導する。 |
専門看護師
分野 | 仕事内容 |
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が ん 看 護 | ・がん患者さんの精神的苦痛を理解する。 ・患者さんやその家族に対して生活の質の視点に立った水準の高い看護の提供する。 |
精 神 看 護 | ・精神疾患患者さんに対して水準の高い看護を提供する。 ・一般病棟でも心のケア「リエゾン精神看護」を提供する。 |
地 域 看 護 | ・学校保健、産業保健、保険行政、在宅ケアなどでも質の高い看護ケアを提供する。 ・地域の保健医療福祉の発展に貢献する。 |
老 人 介 護 | ・高齢者施設で認知、嚥下障害などの健康問題を抱える高齢者の生活質向上に向けた、質の高い看護ケアの提供をする。 |
小 児 看 護 | ・子どもたちが健やかに成長できる療養生活を支援する。 ・ほかの医療スタッフと連携し、質の高い看護ケアを提供する。 |
母 性 看 護 | ・母子および家族への支援をする。 ・女性ならではの社会的、精神的、肉体的な変化や健康への支援を含む質の高い看護ケアを提供する。 |
慢 性 疾 患 看 護 | ・慢性患者さんの管理、健康増進、療養支援などに関する質の高い看護ケアを提供する。 |
急 性 ・ 重 症 患 者 看 護 | ・緊急度や重症度の高い患者さんに対して集中的な看護ケアを提供する。 ・患者さんやそのご家族に対する支援をする。 ・最善の医療提供を目的とした医療スタッフ間の調整をする。 |
感 染 症 看 護 | ・地域、施設における個人や集団の感染の予防をする。 ・感染症が発生した場合の適切な対策に携わる。 ・感染患者に対する質の高い看護ケアを提供する。 |
家 族 支 援 | ・患者さんを含むご家族の、家族生活の維持などのセルフ機能を高め、身体的、精神的、社会的な支援をする。 |
在 宅 看 護 | ・在宅療養者とそのご家族が個々の生活で快適な日常生活を送れることを支援する。 ・在宅看護における適切な体制をつくる。 ・既存ケアサービスとの連携促進を図るなど、質の高い看護ケアを提供する。 |
遺 伝 看 護 | ・対象者の遺伝的課題を発見し診断や予防をし、治療の意思決定を支援する。 ・生活の質の向上を目指した療養生活を支援する。 ・必要な医療や看護ケアを受けられる体制を支援する。 ・《ゲノム医療》の発展に貢献する。 |
災 害 看 護 | ・あらゆる災害の特性をふまえ、有限の人的、物的資源の中で適切な看護を提供する。 ・常々多職種や行政などと連携し防災体制の構築と災害看護への発展に貢献する。 |
放 射 線 看 護 | ・患者さんやご家族の治療に関する意思決定を支援する。 ・有害事象悪化予防に向けたセルフケアを指導する。 ・通院に対する悩みなどのサポートをする。 ・医師、診療放射線技師などと協働しながら日々の実践をし看護スタッフへの指導をし、相談に応じる。 |
違いは、認定看護師は患者さんに特化したサービスを提供することに努めるのに対して、専門看護師は患者さんとそのご家族に総合的なケアを行うことです。
向いている人
認定看護師
- 専門性の高い特定の知識やスキルを身に付けたい人
- 医療現場でより質の高い看護ケアを実践したい人
- 特定の医療分野のプロフェッショナルになりたい人
- 現場の最前線で患者さんと接したい人
- 大学院への進学が困難な人
専門看護師
- 質の高い看護を提供できる体制を整えたい人
- 医療機関と患者さんを繋げる役目を担いたい人
- 質の高い医療機関つくりに興味がある人
- 幅広い範囲の看護サービスを学びたい人
- より専門的で影響範囲が広い仕事をしたい人
- 専門分野の看護研究を深めたい人
- 教育や研究の面から質の高い看護の向上に貢献したい人
- 大学院でしっかり学びたい人
メリット・デメリット
メリット
認定看護師
- 活躍の場が広がる
- 専門分野を指導・教育する役割を担える
- 夜勤減少や免除の可能性がある
- キャリアアップにつながる
- 昇進や資格手当
- 転職や再就職が有利
専門看護師
- 活躍の場が広がる
- 転職や再就職が有利
- キャリアアップにつながる
- 昇進や資格手当
デメリット
認定看護師
- 資格を有効活用できない環境もある
- 資格取得に時間とお金がかかる
- 手当がないところもある
専門看護師
- 手当がないところもある
- 資格を有効活用できない環境もある
- 認定看護師より資格取得まで時間とお金がかかる
このようにメリット・デメリットはあまり変わらないので、どちらの資格を取得するかは他を基準にしたほうがいいかもしれません。
資格の取り方
認定看護師と専門看護師では、資格を取得する際の資格取得条件などが違ってきます。
認定看護師 | 専門看護師 |
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看護師として5年以上の実践経験 (うち3年以上は専門分野での実務) | 看護師として5年以上の実践経験 (うち3年以上は専門分野での実務) |
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認定看護師認定機関での 6か月~1年の教育を受ける | 看護系大学大学院にて 2年間で38単位の取得 |
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認定看護師認定審査 (書類審査・筆記試験) | 専門看護師認定審査 (書類審査・筆記試験) |
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認定証交付・登録 |
審査料・登録料で100.000円ほど必要になります。
専門看護師と専門看護師の認定書の交付・登録後は5年ごとの更新があります。
認定看護師 | 専門看護師 |
・申請時に認定看護師であること ・申請時に過去5年間の看護実績(2000時間以上)および自己研鑽(50点以上)の実績があること | ・看護実践の実績 ・研修実績 ・研究業績 |
更新をしなければ認定を取り消されてしまいます。再認定もできますが、費用が必要になるので忘れずに更新しましょう。
資格取得条件を満たすには、認定看護師では約100万円、専門看護師では約200万円必要です。
実践経験をつみながら教育機関や大学院に通うのは、時間的にも金銭的にも大変だとおもいます。
その場合は、認定看護師教育課程奨学金や大学院奨学金制度や長期靴修制度を活用し働きながら資格取得ができる可能性があります。日本看護協会
まとめ
いかがでしたか。認定看護師と専門看護師とでは、特定分野が違うので仕事内容などに違いはありますが、どちらも高い知識と技術を持ち、質のよい看護ケアを行う看護師です。
これから認定看護師や専門看護師になりたいという人は『自分はどのような看護師になりたいか』をよく考えてみましょう。
それでもどちらがいいかわからない人はそれぞれの仕事の特徴と自分の気持ちを照らし合わせ考えてみましょう。
認定看護師や専門看護師は転職にも有利になってくるので、少しでも興味のある人は資格取得を検討してみましょう。
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