若手薬剤師だってのんびり働きたい!転職成功への3大ポイントを解説

若手薬剤師だってのんびり働きたい!転職成功への3大ポイントを解説

薬剤師の仕事はやりがいがあるけど…なんか疲れる

先輩から若いんだからもっと頑張ってと言われたけど…もう限界

30歳を目の前にすると、今後の薬剤師人生について考える機会が増えてくるものです。

「本当はのんびり、自分らしく働きたい。でも、若いうちからそんなこと許されないよね」

「転職したところで薬剤師業務の厳しさはどこも変わりないに決まってる」そんな風に諦めてはいませんか?

職場環境や働き方を見直せば、若手薬剤師であっても「のんびり働きたい」は実現できます。ただし、行き当たりばったりの転職ではいい結果は出せません。

そこで今回はのんびり働くために押さえておきたいポイントについて解説します。この記事を読んで、自分の理想の職場を探す手がかりを見つけてください。

離職率から見る薬剤師が転職をためらう理由

離職率とは、労働者の職場に対する満足度をはかる指標になる数値です。

少し古い資料では、薬剤師の離職率10%未満の病院が66%を占めているという調査結果が公表されています。

(出典:武田泰生 厚生労働科学研究費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)病院における薬剤師の働き方の実態を踏まえた生産性の向上と薬剤師業務のあり方に関する研究 令和1(2019)年度総括研究報告書(厚生労働科学研究成果データベース))

また別の資料では次のような結果も出ています。

業 種 離職率
医療・福祉   14.6%
全産業平均 15.4%
参考:厚生労働省 令和5年雇用動向調査結果の概況 より作成

2つの資料を総合して考えると、薬剤師の離職率はけっして高くありません。

離職率が低いのであれば、職場の満足度は高いはずと思われそうですが、そう単純に判断できないのが薬剤師という職業です。

人の命を預かる責任感や人手不足の職場への遠慮から、退職をためらっている人が多いのが実は1番の問題だと考えられます。

厚生労働省の一般職業紹介状況(令和6年10月分)によると、薬剤師(医師・歯科医師・獣医師を含む)の有効求人倍率は2.25倍となっています。

どの業種も人手不足と言われていますが、それでも全職種の平均は1.16倍です。薬剤師はその約2倍の数値ですから、売り手市場であるのは間違いありません。

今後薬剤師過剰時代が来るとの予測もありますが、現時点では薬剤師の数は充足しているとは言いがたい状況です。

こうした中で退職を言い出すのはかなり勇気が必要となります。辞めたくても辞められないのが実情なのではないでしょうか。

「のんびり働きたい」の本当の意味

そもそも薬剤師は精神的にも肉体的にも厳しい仕事です。加えて自分に合わない環境に身を置いているなら転職が頭をよぎっても仕方ありません。

それでも周りを気にして辞められないジレンマで、ストレスを溜め込んでいませんか?

「のんびり働きたい」は重圧からの解放を願う心の叫びです。薬剤師として無理なく働き続けるには、そのSOSにしっかり耳を傾ける必要があります

さもないと、いずれ薬剤師自体をやめたくなるかもしれません。6年間必死に勉強してとった資格を職場のミスマッチで無にするのはもったいなさすぎます。

自分の適性や能力、希望にあった職場に就職するのは憲法でも保証されている権利です。「のんびり」をわがままと感じる必要はありません。

堂々と自分にあった職場探しを進めていきましょう。

次の章からは転職を成功に導くためのポイントについて解説していきます。

成功ポイント1.あなたがのんびりできない理由を知る

自分が望む「のんびり」がわかっていないと、たとえ転職しても、同じ悩みに苦しめられるかもしれません。

あなたが今「のんびり働けない」理由を掘り下げつつ、対処法を考えていきましょう。

ワークライフバランスが崩れている

残業続きの毎日、有休消化もままならない職場では身心ともに疲れ切ってしまいます。

  • 休日でも仕事が気になり心が休まらない
  • 休息が取れず、明らかに仕事の効率が下がっている
  • 疲れすぎて仕事への意欲がわかない

このような状態なら「のんびり働きたい」と考えるのはごく自然です。

まずは労働時間を見直すところから始めましょう。残業が少なくて有休も取りやすい、ワークライフバランスに優れた職場への転職が理想的です。

パートや派遣など、正社員以外の働き方も視野に入れてみてはどうでしょうか。

職場の人間関係でダメージを受けている

厚生労働省の「令和5年雇用動向調査結果の概況」を分析すると、人間関係に悩んで転職するのは若年層の女性に多いのがわかります。

画像引用:厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」

さまざまな経歴や年齢の人がいる職場で揉まれて、まだ人生経験の乏しい若手が苦戦している様子が見て取れるデータです。

孤立してしまったり、周りに気を使いすぎたりしていては、とても「のんびり」仕事などできません。

改善のための努力はムダではありませんが、すでに精神的に参っている状態なら速やかに職場を変えて心の安定を図ることをおすすめします。

転職エージェントの力を借りて応募先の雰囲気や年齢層などを調べておくと、自分に合う職場かどうかが判断しやすくなるでしょう。

患者さんとのコミュニケーションが難しい

患者さんとの信頼関係をうまく築けないのは若手に多い悩みですが、知識が蓄えられ場数を踏むことによって、いずれは解決できる問題です。

経験を積む過程でコミュニケーションスキルも磨かれ、自然に信頼を得られるようになっていきます。

ですが、服薬説明に聞く耳を持たなかったり、理不尽なクレームをつけたりする患者さんには、どんなベテラン薬剤師もお手上げです。

日に何人も相手にするような職場なら、心は削られていくばかりかもしれません。

「のんびり働く」を優先させるなら、直接患者さんと接する機会が少ない職場を選ぶのも選択肢の一つです。

調剤や病院以外にも薬剤師の働く場所はたくさんあります。視野を広くして、転職先を探してみましょう。

調剤ミスへの対策がない

患者さんの命を脅かす調剤ミスは、絶対に避けなければならないものです。そのため、薬剤師は常に緊張感を持って業務にあたらなければなりません。

ですが、個人の努力と自覚にだけ頼るのには限界があります。ミスは必ずあるという共通の意識がスタッフ間になければ、大きな事故につながりかねません。

原因の究明やミス防止の工夫はそっちのけで責任の追及ばかりに目を向けている職場では、不安ばかりが募り仕事どころではなくなります。

あなたが求める「のんびり」とは「安心感」のことではないでしょうか。

ミスを防ぐためのシステム構築や見逃さないための体制づくりに積極的に取り組んでいる職場への転職を考えてみましょう。

いま感じている不安やストレスの多くは解消されるはずです。

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成功ポイント2.「のんびり」を実現する職場を洗い出す

「のんびり」できない理由がわかったら、次は自分にあった職場を探していきましょう。

あなたが重視する点ごとに転職の選択肢を紹介していきます。

ワークライフバランス重視

単科クリニックの門前薬局

眼科や整形外科・皮膚科など、単科クリニックの門前薬局では複雑な処方箋を取り扱うケースは少なく、数も限られます。

多くの診療科に対応する薬局と比較して、調剤業務も単純で作業量も多くありません

クリニックに合わせた開店スケジュールとなるので、土日祝やお盆・年末年始も周りに遠慮せずお休みできるのもメリットです。

ただし、皮膚科の門前薬局の場合、軟膏やクリームの混合に時間と人手を取られてしまうケースがあります。

自動練り機を導入しているかどうかの確認しておくと安心です。

企業・公務員薬剤師

薬剤師というとまっさきに病院か調剤薬局が頭に浮かびますが、一般企業や行政機関でも需要のある仕事です。

一刻を争う医療現場とは違い、急な残業は発生しにくく、自分のペースで仕事ができます。

資格や経験を生かしつつも、一般的なサラリーマンと同じような働き方ができるのが魅力です

<例>

・製薬会社や医薬品卸の管理薬剤師ー在庫管理や許認可申請などの業務に携わる

・DI職(Drug Information Services)ー医療機関等から寄せられた医薬品に関する問い合わせに対応する

・企業内薬剤師ー大手企業内にある診療室で調剤や服薬指導などを担う

・公務員(病院以外)ー国・地方公共団体で医療や環境行政に関わる

人間関係重視

<新規オープンの薬局>

既存の店舗はある程度人間関係が固まっていて、後から入る人は壁を感じがちです。

新店においては、全員が同じスタートラインに立つ同僚ですから、その心配はいりません。

店舗を軌道に乗せるという共通の目標が連帯感を高め、結束が強くなるのが特徴です

<一人薬剤師>

処方箋の数が省令で定められている1日40枚を超えない、規模の小さな薬局は、薬剤師を一人しか置かない場合があります。

人間関係のわずらわしさがなく、仕事にだけ集中したい人にとっては適した環境です

調剤から服薬指導・事務仕事など一人でこなすためスキルアップも図れます。

患者さん重視

<地方の薬局>

都市部の薬局では不特定多数の人に対応しますが、人口の少ない地方の薬局ではある程度患者さんも固定されます。

顔見知りである安心感から信頼関係も生まれやすく、患者さん一人ひとりと十分なコミュニケーションを取れる環境です。

薬剤師が不足している地域では、給与や待遇が都市部よりも良い傾向にある点も魅力です。

<回復期リハビリテーション病院・療養型病院>

体力維持や健康増進・リハビリを目的とした病院であり、患者さんの入院期間は長い傾向にあります。

入れ替わりが少なく、一人の患者さんとじっくり向き合えるのが他の病院と違うところです

服薬指導で顔をあわせるうちにお互い親近感が湧いて、他愛のない世間話に花を咲かせることも珍しくありません。

治療や退院後の不安など深い部分まで話してくれる頃には、信頼関係もしっかり結ばれているはずです。

調剤ミス対策重視

<ロボット調剤の薬局>

以前から分包機や自動払出機など調剤を補助する機械は存在していました。

ですが、最近では処方内容を入力するだけですべての調剤業務を行ってくれる「調剤ロボット」が登場しています。

ヒューマンエラーをなくすとともに、薬剤師の業務を軽減してくれる画期的なシステムです。

大手調剤薬局や一部の病院では導入が進んでおり、薬剤師は服薬指導や健康相談などの対人業務に力を注げる環境が作られています。

<対策や教育環境が整っている病院・薬局>

調剤ロボットは高額なため、設置されている病院や薬局はそう多くはありません。

ですが、限られた予算の中でもできる対策を行い、一定の成果を上げているところはあります。

・調剤室の整理整頓

・薬剤ボックスの配置の工夫

・取り違えやすい薬剤に関する注意喚起表示

・ダブルチェックの徹底

一つひとつはごく当たり前な対処法ですが、基本的な対策を地道に行っているかどうかは、職場を選ぶにあたって大事なポイントとなります。

また、調剤ミスは経験や知識の不足が原因であることも少なくありません。

入職したてで不慣れな環境にもかかわらず、即戦力としてあてにされてしまうようなところでは、十分な研修は期待できないでしょう。

新人研修の体制がきちんと整っている職場を選ぶことが大切です。

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成功ポイント3.後悔しない転職のために準備をする

自分に合う職場についてのイメージがつかめたところで、最後に転職の際に準備しておくべきポイントについてお話していきます。

やみくもに転職活動してしまうと迷走するばかりです。しっかり軸を固めて転職を成功に導きましょう

①条件の優先度を決めておく

自分が職場に求める条件は、譲れないものと妥協できるものとで分けて考えておきましょう。

すべての条件を満たそうとすれば、その分選択肢が狭まってしまいます。結果いつまでたっても転職できない事態にもなりかねません。

今回のように「のんびり働きたい」を必須条件にするなら、他の部分で妥協点を設定しておくと良いでしょう。

たとえば、給与や福利厚生、通勤時間などは希望に幅を持たせておくと、職場も見つけやすくなります。

何を優先させ、どこを譲歩するかをはっきり見極めておくのが転職成功の鍵です。

②「のんびり働く」デメリットを知っておく

「のんびり働く」ことを優先させれば、心身への負担は軽くなります。ですが、同時にデメリットがあるのも忘れてはいけません。

・時間的余裕がある分、給与は低い可能性がある

・単純な処方ばかりのところでは、スキルは上がらない

・調剤が伴わない仕事に就くと、その後病院・薬局への復帰が難しくなる

上記のデメリットは、今後のライフプラン・キャリアプランにも影響を及ぼす可能性があります。

のんびりを求めて転職はしたものの、将来に不安を覚えて再び職探しをするようになっては本末転倒です。

無意味な転職を繰り返さないためにも、デメリットも把握したうえで慎重に転職先を選んでいきましょう。

③職場見学で雰囲気をつかむ

転職先の候補が見つかったなら、まずは職場見学することをおすすめします。

求人票の文字情報だけでは職場の雰囲気は見えてきません。見学は、その場の様子を目で見て肌で感じ取れる唯一のチャンスです。

たとえば

  • 使っている機材や設備
  • スタッフ同士のコミュニケーションの様子
  • 患者さんに対する接し方
  • スタッフの年齢構成 など

前もってチェック項目を考えて見学に臨むことをおすすめします。

入職してから、想像していたのとは違ったと後悔しても後の祭りです。

実際自分がそこで働いている様子を想像しながら、違和感がないかを確かめていきましょう

④転職エージェントを味方につける

転職エージェントは紹介した人材が早期退職してしまうのを何より恐れています。

求人元の病院や企業に紹介料の50%〜100%を返金せねばならず、信用も落としかねないからです。

早期退職の原因となる職場のミスマッチを防ぐため、エージェントは依頼者の話を細かく聞き取りしていきます。

その際に自分の希望をしっかり伝えられていないと、エージェント側も的外れな提案しかできません。

「のんびり働きたい」思いを包み隠さずエージェントに伝えましょう

まとめ

薬剤師の「のんびり働きたい」をかなえるための3つのポイントについて解説してきました。

  1. 自分にとっての「のんびり」とはなんなのかを考える
  2. 理想の職場を見つけ出す
  3. 後悔のない転職にするため準備を整える

若いうちは無理してでも仕事に打ち込むのが当たり前とする風潮もありましたが、今は多様性の時代です。

山のような仕事をさばいて充足感を得たい人もいれば、プライベートを優先させたいと考える人もいるでしょう。

仕事に対する考え方は人それぞれです。「のんびり働きたい」気持ちに蓋をする必要などありません。

自分らしく働ける職場はきっとあります。焦らずじっくり探して理想を現実に変えていきましょう。

転職をお考えの方はぜひこちらもご覧ください。薬剤師の転職サイトおすすめランキング3選!成功のポイントも!

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