在宅医療での薬剤師の役割を解説!薬剤師の在り方は今後どうなる?

在宅医療は日本人口の高齢化に伴い今後大きく増えると推定されています。

入院病床の減少や地方医療従事者の減少などによる医療環境の変化は2025年問題と呼ばれ、在宅医療の現場も変化しています。

そんな中、厚生労働省は薬剤師を在宅医療の一翼を担う人材として活用する方針を固めています。

2025年問題を前に薬剤師の役割はどのようなものか、どんなスキルが必要になるのかをご紹介します。

在宅医療はどんなことをするの?

まず在宅医療とは何かを知っておきましょう。

在宅医療は通院が困難な場合や入院より自宅での療養を希望する患者に対して行われる医療活動です。

内容は医師による往診をはじめ、歯科医師による訪問歯科診療、訪問リハビリテーション、訪問栄養指導など多岐にわたります。

そして到来する高齢化社会により在宅医療を希望する患者も大幅に増加すると見込まれています。

厚生労働省の見積もりでは2025年には在宅医療を望む患者が29万人と推計されています。

政府はこれを見越して在宅医療支援のための枠組みの構築や既存の医療制度の見直しを図っています。

在宅医療の問題点

在宅医療では病院では対応出来ていたものが対応不可能になり、そのために新たな対策が必要になります。

例えば服薬は病院であれば飲む都度渡して管理することができますし、市販薬や他院の薬が混在するリスクも低くなります。

在宅医療では服薬管理は患者がすることになるため、服薬忘れによって症状が悪化し、更に医療費が嵩むことが問題となっています。

そして入院であれば容体の変化に対してナースコールで24時間対応が可能でした。

在宅医療では夜間の対応や容体確認に限界があり、それらの問題を解決するために政府は在宅医療に必要な連携を担う拠点の整備を進めています。

薬剤師に期待される在宅医療での役割とは

在宅医療の増加は薬剤師にとっても大きな影響があります。

薬剤師の役割としてはまず、在宅医療で療養される患者に対しての訪問調剤と服薬指導があります。

最も問題視されているのは服薬状況が悪いために患者の病状が悪化し、さらなる治療が必要になってしまうことです。

薬剤師には残薬の管理や整理など飲み忘れと飲み間違いを防止するための活動が求められています。

複数の病院から処方をもらっている場合やサプリメント等との飲み合わせのチェックも必要です。

特に高齢者に対しては生活導線への配慮も必要ですし、健康相談などにも対応する必要があります。

また、医師や看護師、そして介護士などとの連携が求められます。

病院薬剤師であればチーム医療としての連携は本来の業務ですが、薬局薬剤師にも同様に地域のチーム医療への参画が求められるようになりました。

これは2025年問題を見据え、医療への需要ひっ迫へ対処するために進められている政策です。

地域包括ケアシステムにおいてはかかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師として地域の健康サポート薬局という制度が開始されました。

在宅医療の対応に求められるのはどんなスキル?

薬剤師にとっての薬の知識やスキルは基本ですが、在宅医療にはほかにも求められるものがあります。

在宅医療に従事する薬剤師は特にコミュニケーション能力が求められます。

医師や看護師との連携も必要になりますし、患者との関係を良好に保たなければ医療そのものに支障が出ることになります。

服薬管理のためには患者に対して適切に使用できるような配置や整理方法を生活に根差し無理なく行えるような提案をします。

高齢者や小さい子供が居る家庭であれば間違った使用がされないようにする必要も出ます。

総合すると服薬をスムーズに継続するための提案力、家庭での使用を想定する想像力、整理やラベル付けを厭わない几帳面さが求められます。

在宅医療に関わる薬剤師の資格

薬剤師が在宅医療にかかわる場合、「在宅療養支援認定薬剤師」という資格の取得が推奨されます。

この資格は一般社団法人日本在宅薬学会による資格制度で、在宅医療における薬物治療とチーム医療のスキルを有する薬剤師に認定されます。

資格の取得要件を満たした上で一般社団法人日本在宅薬学会が実施する試験に合格することで取得することが可能です。

緩和ケアを行うがん患者に対して特化する「緩和薬物療法認定薬剤師」という資格もあります。

痛みの予防・改善を専門とし、時には急激な容体の変化に対して臨機応変に対応する力が求められます。

まとめ

以上、在宅医療に関わる薬剤師の事情についてご紹介しました。

今後在宅医療についての環境や制度は大きく変化していき、キャリア形成にも影響を与えることになるでしょう。

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