薬剤師の派遣はママにおすすめ?デメリット回避法と注意点3選を紹介
派遣に興味はあるけどブランク長いと雇ってもらえない?
派遣薬剤師って投薬ばかりだと聞いたけどホント?
院内薬局勤務を希望してたけど、派遣では働けないの?
出産・育児のために一旦職場を離れざるを得なかったママ薬剤師の間で派遣という働き方が注目されています。高時給でありながらも時間的余裕が持てるのが人気の理由です。
ですが当然のことながらメリットばかりではありません。働き始めたものの実際考えていたものとは違っていたと後悔する方も少なからずいらっしゃいます。
この記事では派遣に対する素朴な疑問にお答えしつつ、派遣という働き方が果たして自分と家族のライフスタイルにマッチするのか見極めるための情報お伝えしていきます。
家庭と仕事の両立に頑張るママの仕事選びの助けになれば幸いです。
この記事でわかること!
- 派遣のメリット・デメリット
- チェックその1 仕事内容や職場
- チェックその2 正社員との違い
- チェックその3 派遣禁止事項5つ
- 派遣会社を上手く使うコツ
- 派遣会社を掛け持ちするメリット・デメリット
- 派遣会社 登録からの流れ
どうぞ最後までご覧ください。
Contents
派遣薬剤師5つのデメリットを徹底調査
派遣は時給が高く短時間でも稼げるところが魅力です。時間がいくらあっても足りないママ薬剤師にとって都合のいい働き方と言えるでしょう。
ただ誰もがこの働き方に向いているとは限りません。派遣が本当に自分にとって最適か、正社員やパートという選択肢は外していいのか、きちんと検討しておく必要があります。
この章ではまず派遣のデメリットとその対処法についてお話ししていきます。自分の仕事に対するスタンスや生活状況などと照らし合わせながらご覧ください。
ママ薬剤師が派遣で働く5つのデメリット
- 希望の勤務地で働けるとは限らない
- 働ける職場が限られる
- キャリアアップ・スキルアップが難しい
- 即戦力としての働きを求められる
- ずっとおなじ職場にはいられない
希望の勤務地で働けるとは限らない
ママさん薬剤師が職場選びで気にするポイントの一つとして「職場までの距離」が挙げられます。たとえ希望通りの労働条件であっても、通勤に時間がかかるところは敬遠されがちです。
家事育児を効率よく行うためには近場で見つけるのが一番です。だからと言ってそこにこだわりすぎると、いつまでたっても仕事が決まらないということになりかねません。
実は正社員やパートと比べると派遣の求人数は少なく、募集している企業も限られています。絶対数が少ないため、家の近所で見つけるのは困難だと思っておくべきでしょう。
通勤時間の許容範囲がどれくらいなのかあらかじめ決めておきましょう。
・多少距離はあっても交通の便がいいところ
・家からは多少遠くても保育所からは近いところ
といった妥協点も考えておくと職場の選択肢も広がります。
働ける職場が限られる
薬剤師の病院・クリニックなどの医療機関への派遣は例外こそあれ原則禁止です。そのため派遣先はおもに調剤薬局とドラッグストアとなります。
薬剤師派遣の禁止事項については別の章でお伝えします。
調剤薬局
厚生労働省の「厚生統計要覧(令和4年度)」によると全国の薬局の数は令和3年度において61,791件となっており、コンビニの数より多くなっています。派遣先としては一番多い職場です。
門前・門内・かかりつけといった種類はありますが、医療機関から出た処方箋に基づいて調剤し、患者への情報提供・指導を行うといった基本的業務には特に差はありません。
メリット
◆ほとんどの調剤薬局は日勤であり、日曜・祝日が休みのところが多い
◆求人数自体が多く選択肢の幅が広いため、希望の条件に合った職場を探しやすい
デメリット
◆祝日・連休・年末年始などは休業となるため、月によっては収入減となってしまう場合がある
◆業務が投薬と監査に偏りがちでスキルアップが難しい
ドラッグストア
ドラッグストアも数が多く、全国で2万以上の店舗が営業中です。OTC医薬品およびを日用品・食品販売しているところと、それに加えて調剤薬局を併設している店舗の2つに分類されます。
販売メインの店舗ではOTC医薬品に対する問い合わせへの回答やプロの知識を活かしたアドバイスが仕事です。合わせてレジ打ち・品出し・売り場作りなどの業務も担うこともあります。
調剤併設型店舗は通常調剤部門での仕事がメインです。ただしOTC医薬品販売も薬剤師業務に含めている店舗もあります。医療用医薬品だけでなく、市販薬やサプリの知識も必要です。
メリット
◆全国チェーン展開や夜遅くまで営業している店舗が多いことから、勤務地や時間帯を選びやすい
◆診療報酬改定の影響を受けず、比較的経営状態が安定しているため、高い給料設定になっている
◆コミュニケーション能力・医薬品以外の知識・売り場作りなど、幅広いスキルを身につけることができる
◆大手チェーンのドラックストアでは常に薬剤師が不足しているため求人が多い
デメリット
◆販売メインのドラッグストアに関する求人は少ない
◆土日祝日や夜間帯の勤務を求められることが多い
◆調剤併設型ドラックスストアでは、激務になりやすい
◆自分以外の薬剤師がいない場合も多く、薬について相談できる人がいない
例外的に病院やクリニックで派遣として働くことは可能ですが、求人数は非常に少なく、いつ出るかも不確定です。製薬会社の求人も同様で数はかなり少ないものになっています。
安定して求人が出ているのはやはり調剤薬局とドラッグストアとなります。両者のメリット・デメリットをよく理解して、自分に合う職場をチョイスしましょう。
キャリアアップ・スキルアップが難しい
法律によって管理薬剤師の派遣は禁止されています。そのため前職が管理薬剤師だとしても同じ条件で働くことはできません。それまでのキャリアは関係なく、一薬剤師として働くことになります。
また派遣では投薬や監査がメインというところが少なくありません。店舗によって調剤ルールや使う機器が異なるため、短期雇用の派遣薬剤師をその都度訓練する時間がないというのが理由です。
調剤のスキルを落としたくないならば、派遣先選びには慎重になりましょう。単発派遣(派遣期間が1日〜)メインで活動すると調剤の機会はますます少なくなってしまいます。
求人票の「仕事内容」に調剤と書いてあっても鵜呑みにはしないほうが賢明です。派遣会社を通じてしっかり業務内容を確認してもらうようにしましょう。
即戦力としての働きを求められる
派遣薬剤師を募集している職場は、そもそも人員が不足しているため多忙な状態です。一から教えている余裕はないので即戦力となる人を求めています。時給が高く設定されているのはそのためです。
派遣先の期待通りに動けないと、どうしても風当たりは強くなるのは否めません。無理に気負うことはありませんが、最低限のスキルは身につけておかないと肩身の狭い思いをすることになります。
しばらく現場から離れていたママ薬剤師にとって「即戦力」という言葉はプレッシャーになるかもしれません。
ブランクがあって不安に思う方は研修制度のある派遣会社に登録することをおすすめします。
ずっとおなじ職場にはいられない
派遣薬剤師は同じ派遣先において長期間継続して働くことができません。どんなに自分の生活スタイルやスキルに合っている職場であっても、契約期間が満了したらそこで終了です。
派遣は高時給であると同時に、派遣会社へのマージンも発生します。正社員やパートがどうしても手配できない期間のみ働いてもらい、経費をできるだけ抑えたいというのが雇用する側の本音です。
正社員やパートがいつ補充できるかは予測できないため、派遣の契約更新は1ヶ月という短いスパンで行われます。契約終了に備えていつでも対応できるよう準備しておきましょう。
派遣の立場は不安定ですが、本当に自分にあった職場を見つけるためのステップだと割り切れば余裕を持って働くことができます。
派遣薬剤師5つのメリットをおさらい
デメリットをまずご紹介してきました。「いろいろ大変そう」「自分には無理かも」と思われた方もおられるのではないでしょうか?
ですが派遣にはこのデメリットに勝るとも劣らないメリットが存在します。改めておさらいし、メリット・デメリットどちらが自分の中で優っているのか確かめてみてください。
ママ薬剤師が派遣で働く6つのメリット
- 勤務時間・働く期間を選べる
- サービス残業はない
- 時給5,000円の薬剤師派遣も!パートよりも高時給
- 人間関係のトラブルを回避しやすい
- さまざまな職場を経験できる
勤務時間・働く期間を選べる
派遣は最短1日から働くことが可能です。こうした契約期間30日以下の契約のことを単発派遣と呼びます。のちほど派遣の禁止事項の章でもご紹介しますが、要件クリアが必須のため確認が必要です。
一方契約期間31日〜3年のものを一般派遣といいます。派遣薬剤師の平均契約期間は2~3ヶ月と短く、年単位で働くのは非常にまれなケースです。
職場が頻繁に変わる不安定さは否定できませんが、短期間就業のほうが家庭の都合に合わせやすいというメリットもあります。
例えば
〇子どもの夏休み前まで派遣で働く
⇓
〇子どもが夏休みの1か月間は休む
⇓
〇学校が始まる9月に再び派遣で働く
というように子供のスケジュールに合わせた働き方も可能です。そのほかにも家庭と仕事の両立に悩むママたちのこんな要望にも対応することができます。
◆子どもを保育園に迎えに行く、夕方までの時間帯だけ働きたい
◆子どもの世話や家事とのかね合いも見たいから、とりあえず1か月間だけ働いてみたい
◆出産・育児の長いブランクがあるので少しづつ慣らしていきたい
勤務時間・働く期間などの希望条件を派遣会社の担当者としっかりすりあわせれば自由度の高い働き方ができるはずです。
サービス残業はない
時間外手当てのないサービス残業は派遣法で禁止されています。どれだけ忙しい職場であっても派遣薬剤師がサービス残業をすることはありません。
また、派遣薬剤師に対する費用が高いため、派遣先は派遣薬剤師に残業をさせることを嫌います。勤務時間内に業務が終われるよう、仕事量の調節をしてくれるのもメリットのひとつです。
派遣薬剤師の雇用主は派遣会社です。
万一、就業先からサービス残業を強要された場合は、専任コンサルタントに相談しましょう。
改善の交渉など対処してもらえるため、無理なく安心して働けます。
時給5,000円の薬剤師派遣も!パートよりも高時給
ママ薬剤師の働き方としてパートやアルバイトは一般的ですが、給与面では派遣薬剤師と大きな差があります。業種によっても違いがありますが、パートの時給は2,000円程度が相場です。
一方、派遣薬剤師の時給相場は2,500~3,000円と高くなり、時給5000円以上のレア求人も存在します。エリアによっても差があり、基本的には都心部よりも地方ほど高時給になる傾向です。
人間関係のトラブルを回避しやすい
正社員のように直接雇用で働く場合、もし働いてみて職場の雰囲気が合わなかったり、人間関係で悩むことがあったりしてもそう簡単には職場を変更することはできません。
しかし、派遣であればまずは最初の契約期間のみ働いてみることもできます。人間関係や職場の雰囲気が自分に合っているかどうかを見極めたのち、契約延長するかどうか決めることも可能です。
就業先でのトラブルや悩みがあった場合でも派遣会社の担当者が相談にのってくれたり、就業中のサポートもしてくれるため安心して働けます。
さまざまな職場を経験できる
一般的な派遣薬剤師は派遣期間が数ヶ月程度であるため、必然的にさまざまな職場を経験することになります。
毎回一からスタートするのは面倒ですし、慣れてきたと思った途端終了というのはしんどく感じます。しかし多くの職場を体験するチャンスと捉えれば得るものは大きいはずです。
また、投薬・監査・調剤などの業務も職場によって患者層や業務システムなどに違いがあります。環境に応じて臨機応変に対処できる能力を伸ばす絶好の機会です。
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派遣薬剤師は投薬ばかり?仕事内容や職場をチェック
仕事が偏る要因は?
調剤薬局に派遣された薬剤師の業務が投薬ばかり・監査ばかりに偏っているという話をよく耳にします。このような傾向になる要因は次の通りです。
派遣薬剤師の仕事が投薬ばかりになる理由
1.投薬は初日でも即日対応できる仕事である
2.調剤室内の配置や器具の説明に時間をかけたくない
3.投薬は、経験が浅い派遣社員でも、ミスなくできる
4.調剤は慣れた正社員が行った方がスムーズにミスなくできる
薬剤棚の配置や器具の使い方などは薬局によって異なります。経験が浅い派遣薬剤師だと手間取ってしまい、思わぬトラブルを起こすことも考えられるでしょう。
一方、投薬・監査はどの薬局もやり方はほぼ一緒です。初めての職場であってもスムーズに行えるため、派遣薬剤師は投薬・監査を任されることが多くなるのです。
募集の段階で見極められるか?
残念ながら求人票を見ただけでは仕事内容を正確に把握することはできません。投薬や監査ばかりでなく調剤もしたいと思っている方は特に注意が必要です。
各派遣会社が出している調剤薬局の募集をランダムに選んで確認したところ、そのすべてに「調剤」が仕事として明記してありました。理由は定かではありませんが、実情と合わないのは確かです。
ここはやはり派遣会社の担当者を通してその薬局での派遣の役割をはっきりさせておきましょう。契約してしまってからでは手遅れです。
投薬ばかりにならないために
もし投薬ばかりでなく調剤業務もこなしたいのであれば、次のような派遣先を選ぶと良いでしょう。
投薬以外の仕事ができる職場の選び方
○投薬・調剤・監査などを任せてもらえる「少人数制で行う店舗」
○投薬や調剤業務を一人で行う「1人薬剤師の派遣先」
○正社員が在宅業務や外来対応を行う店舗
在宅訪問を並行して行なっている薬局では、その部門の業務を派遣に任せることはまずありません。在宅は正社員が担当し、店舗内の業務を他のスタッフに委ねます。
そのため派遣薬剤師にも調剤するチャンスが巡ってくるかもしれません。
一人、もしくは少人数の薬局では業務を固定化する人的余裕がないため、必然的に派遣でも調剤を任せられることになります。
忙しい職場では特に派遣が投薬や監査ばかり担当する傾向が強いようです。実は求人票からその忙しさをはかることができます。見るのは処方箋の取り扱い枚数と薬剤師の数です。
処方箋の枚数を働いている薬剤師の数で割れば一人当たりの処理枚数の概算がわかります。他と比べて極端に多いようなら多忙と判断できるでしょう。
(求人票には明記していない薬局もあります)
正社員との相違点をチェック
派遣と正社員 異なるところ
雇用主は就業先ではなく派遣会社
派遣薬剤師は派遣会社に雇用され、派遣会社で紹介された派遣先の職場で働きます。ここでポイントとなるのは、雇用主の違いです。
正社員やパート・アルバイト社員の雇用主は基本的に就業先ですが、派遣薬剤師の雇用主は登録している派遣会社となります。
同じ現場で同じように働いていても、正社員・パート社員と派遣社員では雇用主が違い、契約内容も違ってくるのです。
つまり、「給与の支払い」や「有給休暇・社会保障などの福利厚生」などは派遣会社のものが適用されます。
派遣会社と派遣先の間で「実際の業務に関する指示や管理」は派遣先が行うように契約しているので、「実際の業務に関する指示や管理」は、派遣先の上司から受けます。
正社員との収入の差は?
では、派遣と正社員の収入にはどれくらいの差があるのでしょうか。
結論からいうと、フルタイムで働いた場合、正社員よりも派遣薬剤師の方が高収入を狙える確率が高いです。
2021年度の薬剤師正社員の平均年収は565.1万円(厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査結果の概況」)、それに対して派遣薬剤師がフルタイムとして働いた場合の年収をシミュレーションしてみると、以下のような結果となります。
時給(円) | 勤務日数 | 月収(万円) | 年収(万円) |
3,000 | 8h×20日 | 48 | 576 |
3,500 | 8h×20日 | 56 | 672 |
4,500 | 8h×15日 | 54 | 648 |
もちろん、地域や時期によって異なる場合もありますが、派遣薬剤師としての働き方は、正社員と比較して収入面で損になることは決してありません。
時給4,500円を超え、月の半分働いただけで年収600万円を超えるというはとても魅力的です。
効率よく稼ぎたいママ薬剤師にはぴったりの働き方だと言えるでしょう。
派遣薬剤師の契約は最長でも3年まで
派遣薬剤師は有期契約のため、同じ職場で働き続けることはできません。契約更新は1ヶ月単位で行われることが多く、最長でも3年までと定められています。
慢性的な薬剤師不足や社員の急な退職などにより、派遣薬剤師が必要とされる場面は少なくありません。ですが正社員やパートが確保できた時点でお役御免になるケースがほとんどです。
派遣と正社員 変わらないところ
産休・育休や福利厚生が受けられる
ママ薬剤師が派遣を検討するとき、「産休・育休はとれるのか」「子供が病気のときなど有休がとれるか」「施設の割引などの福利厚生はあるのか」など気になることはたくさんあります。
結論を言えば、派遣であっても、産休・育休はもちろん、有給休暇の取得や福利厚生を受けられます。ただし、所属する派遣会社・勤務期間などによって適用条件が異なります。
派遣薬剤師の雇用主は就業先ではなく派遣会社となるため、派遣会社の福利厚生を受けることになります。就業先と派遣会社で適用条件が異なるので、事前にしっかり確認しておきましょう。
派遣薬剤師にも交通費の支給はある
2020年の労働者派遣法の改正に基づき、派遣社員にも交通費の支給がされるようになりました。派遣法の改正の目的は、派遣労働者の雇用の安定と正社員との格差の解消によるものです。
派遣社員の賃金の決定方法としては、以下の2つの形式で設定されており、どちらかを選択するように定められています。
・派遣先均等・均衡方式
派遣先の社員と派遣社員の待遇を同等にする方式のことです。
交通費も派遣先の規定に合わせる為、周囲との不公平感が緩和されます。
・労使協定方式
同じ地域で働く同職種の平均賃金と比較し、同程度になるように待遇を設定する方式です。
ただし交通費の支払いに関する規定は派遣会社ごとに異なっています。別途支給される場合もあれば、給与に含まれていることもあるようです。事前に確認をとっておくことをおすすめします。
薬剤師の派遣禁止事項5つをチェック
派遣薬剤師は、派遣労働者を守るために作られた労働派遣法(通称:派遣法)に従って働かなければなりません。
「知らずに派遣法に違反する働き方をしていた…」とならないよう、注意しましょう。
派遣薬剤師が禁止されている5つの働き方
1.同じ職場で3年以上働くことは禁止
2.正社員として働いていた職場への1年以内の派遣は禁止
3.病院やクリニックへの派遣は原則禁止
4.管理薬剤師の派遣は禁止
5.30日以内の短期・単発派遣は禁止
同じ職場で3年以上働くことは禁止
繰り返しになりますが薬剤師が派遣で働く場合、「同じ職場や部署で働ける期間は3年まで」となっており、それ以上派遣として働くことはできません。
もし同じ職場で3年を超えて働き続けたいなら、正社員またはパート・アルバイトとして採用されてから働くことになります。
ちなみに、派遣薬剤師が年単位で同じ職場で働くことはほぼありません。
それは就業先にとって派遣会社に払う費用は高く、正社員またはパート・アルバイトを雇った方が安いからです。派遣はあくまで正社員またはパート・アルバイトが見つかるまでの繋ぎにすぎません。
正社員で働いていた職場への1年以内の派遣は禁止
正社員として働いていた職場を辞めた場合、1年以内に同じ職場へ派遣されることは禁止となっています。
これは、「正社員から派遣社員に格下げして安い賃金で働かせる」ことを防止するためです。パートやアルバイトとして働いていた場合にも適用されます。
ただし、定年退職については対象外となるため、1年以内でも派遣薬剤師として同じ職場で働くことができます。
「事情があって薬局を辞めたけど、そこの職場が好きだから派遣薬剤師として復帰したい」「出産と育児のために一度パート社員を辞めたけど、今度は時給がいい派遣で復帰したい」と考えている方は要注意です。
病院やクリニックへの薬剤師派遣は原則禁止
労働者派遣法により、「医療関係業務(病院やクリニックなど)へ薬剤師を派遣することは禁止」されています。したがって病院からの募集は正社員やパートのみです。
ただし、例外として次の条件に当てはまる場合は、病院やクリニックでも派遣薬剤師として働くことができます。
○紹介予定派遣(最長6ヶ月の派遣期間終了後、本人と派遣先の双方の合意のもとに直接雇用となることを前提として働く制度)
○産前産後休業・育児休業・介護休業を取得した労働者の代替業務の場合
病院やクリニックは、「8時半始業、17時退勤」など勤務時間どおりで残業が少なく、日曜・祝日休みという職場も多いため、夕方や休日は家族との時間を大切にしたいという子育てママに人気です。
病院などへの派遣は上記に述べた場合に限られるので、求人がかなり少ないのが現状です。
もし、派遣薬剤師として病院で働きたい場合は、複数の派遣会社に登録して紹介してもらうのがおすすめです。
管理薬剤師の派遣は禁止
管理薬剤師は業務の性質上、派遣は適当ではないとされ認められていません。ただし、紹介予定派遣であれば、正社員登用後に管理薬剤師として働ける場合もあります。
管理薬剤師とは?
薬機法(医薬品医療機器等法)により、医薬品を取り扱っている薬局や店舗には必ず責任者を置くことが義務づけられています。
その店舗の管理責任者のことです。主な役割は、「医薬品の管理」「医薬品を適正に使用するための情報提供」「スタッフの監督」です。
また、副業や掛け持ちも禁止されており、現在勤務している店舗以外では薬事に関する仕事をしてはいけないことになっています。
30日以内の短期・単発派遣は禁止
2012年10月の労働者派遣法改正により、「30日以内の短期間の日雇い労働は原則的に禁止」になっています。
ですが次の4つの条件を1つでも満たしていれば、短期・単発派遣として働くことが可能です。
30日以内の短期・単発派遣ができる4つの条件
1.60歳以上の人
2.専修・各種学校を含む学校教育法の学校の生徒
3.本業の年収が500万円以上の人
4.世帯年収が500万円以上で主たる生計者ではない人
単発派遣の場合、以上のことを証明するための書類提出が必須です。特に3.と4.に関しては本人および配偶者の所得証明や源泉徴収の写しなどを求められます。
契約前に当然説明はありますが、取り寄せに時間がかかることもあるのですぐ対応できるよう心づもりはしておきましょう。
薬剤師専門の派遣会社を上手に使うコツ
派遣薬剤師の仕事が初めての場合、「実際に働いてみたら雰囲気が合わなかった」「派遣に対して風当たりが強い職場だった」など職場選びに失敗したという声をよく耳にします。
特に薬局は少人数で狭い空間の中で仕事を続けなければならないため、その傾向が強いようです。しかし派遣会社選びに注意すれば、未経験でも安心して派遣薬剤師として働くことができます。
ここでは、派遣薬剤師が未経験でもスムーズに働くための3つのポイントを紹介しています。
派遣薬剤師未経験でもスムーズに働くための4つのポイント
◆未経験OKの求人数が多い派遣会社を選ぶ
◆派遣会社の担当者によく相談する
◆研修制度が整っている派遣会社や企業を選ぶ
未経験OKの求人が多い派遣会社を選ぶ
派遣薬剤師は即戦力が求められますが、「未経験OK」と条件の付いた求人を探せば派遣会社がフォローしてくれます。
またこのような職場は、すでに多くの派遣を受け入れており、対応にも慣れています。未経験者でも働きやすい環境が整っている可能性が高いです。
しかし、未経験OKの求人を扱っている派遣会社は多くありません。
未経験OKの求人数は派遣会社によってかなり差があるため、面談の際に担当者に確認すると良いでしょう。
派遣会社の担当者によく相談する
派遣先の職場にはさまざまなタイプがあり、店舗の規模や従業員数、従業員の年齢層によって休暇の取りやすさや忙しさ、職場の雰囲気も変わってきます。
心配なことはあらかじめ担当者に相談しましょう。
派遣は人員補填として働いているため、急な欠勤は避けるべきですが、ママ薬剤師は子どもの病気など急に休みを取らざるを得ません。
働き始めてからと後悔しないように、自分のライフスタイルにあう職場か、担当者にしっかり確認してください。
「自分のライフスタイルに合った働きやすい職場を選ぶこと」が、派遣薬剤師として仕事と家庭を両立させる成功のコツです。
派遣会社の担当者と納得がいくまで話し合いましょう。
研修制度のある派遣会社や企業を選ぶ
派遣会社や派遣先企業によっては、入職時研修などの研修制度が整っている職場があります。
ブランクがあって薬剤師として働き始めることに不安がある人は、これらの研修制度を利用するのもおすすめです。
特に「大手ドラッグストア」や「大手調剤薬局」では、派遣薬剤師を多く採用しておりその対応にも慣れているため、充実したマニュアルや入社後の研修など手厚いフォローを受けながら仕事ができます。
また、派遣会社においても、働き始める前の教育・就業サポート体制がしっかりと整っているところもあります。
派遣として働く際の導入研修や症例・薬剤についての最新情報を教えるスキルアップ研修などが受けられる派遣会社もあります。
未経験の場合、時給面は少し下がることもありますが、このような研修内容の手厚い派遣会社を選んでおけば、ただ単に派遣先を紹介されるだけのところと比べると、安心して任せられます。
薬剤師は派遣会社を掛け持ちできるか?
薬剤師が複数の派遣会社に登録すること自体は何の問題もありません。さまざまな求人情報を集めて比較検討するためにも2、3箇所は押さえておきたいところです。
ただし実際職場を掛け持ちをするとなると事情は違ってきます。派遣会社によっては就業規則で掛け持ちを禁止しているところがあるので、まずは事前に会社に確認しておきましょう。
掛け持ちする4つのメリット
派遣会社に複数登録するときのメリットを4つ紹介していますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.より多くの派遣会社の求人紹介を見ることができる
2.専任コンサルタントの質や相性を比較できる
3.時給や条件を比較できる
4.その派遣会社にしかない独占求人を紹介してもらえる
より多くの派遣会社の求人紹介を見ることができる
派遣会社に複数登録すると、より多くの求人を紹介してもらえます。求人数が少ない状況でも自分に合った職場を見つけやすくなるのがメリットです。
特に高い条件の職場を狙っていて、なかなか見つからないという人にはおすすめの方法だと言えるでしょう。
専任コンサルタントの質や相性を比較できる
派遣会社1社に登録するより複数登録することで、自分と相性が良く信頼できるコンサルタントに出会う確率が高くなります。
とはいえ、初めて派遣会社を利用する人だと、質の良い・悪いコンサルタントとは具体的にどんなものかわかりません。
そんなときは、次のような基準でコンサルタントを判断すると良いでしょう。
質の良いコンサルタント | 質の悪いコンサルタント |
・派遣の仕事への不安や悩みなど相談に乗ってくれる | ・派遣成功のノルマ達成のために、無理に面接をすすめてくる |
・希望に合った派遣先を紹介してくれる | ・希望に合っていない的外れな求人を紹介してくる |
・レスポンスが早い | ・連絡をしても返信が遅い |
また、複数の派遣会社に登録して比較できるコンサルタントが増えてくると、その質の良し悪しに気づくことができます。
こういった理由もあり、複数登録しておくことがおすすめです。
時給や条件を比較できる
同じ職場の求人でも、派遣会社によって時給や条件に差があることにお気づきでしょうか?
派遣会社によって、時給を高めに設定しているところもあれば低めに設定しているところもあります。複数登録してこれらの情報を比較すると良いでしょう。
独占求人を紹介してもらえる
どこの派遣会社でも、競合他社と差別化するために「自社でしか取り扱っていない独占求人」を持っています。
複数登録すると、1社分だけでなく登録した派遣会社の数だけ独占求人を紹介してもらえます。より理想の求人に出会える確率が高くなることは間違いありません。
掛け持ちする2つのデメリット
派遣会社を掛け持ちすることはメリットばかりではありません。
次にデメリットも2つ紹介していますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 派遣会社に複数登録すると、対応が面倒な場合がある
- 求人の選択肢は広がるが、調整が難しい場合もある
- オーバーワークになる可能性がある
複数登録すると対応が面倒な場合がある
派遣会社に複数登録すると、登録した派遣会社の数だけ面談や、担当者とのメールのやり取りをしなければいけません。
一度に複数の派遣会社に対応するので、どの派遣会社とどんな話をしたのか混乱しがちです。
良い求人を見逃がさないためにも、手間はかかりますが、派遣会社ごとの状況をメモして整理しておくのがよいでしょう。
紹介してもらえる求人数が増え、選択肢が広がるのは嬉しいことです。しかし複数の派遣先から紹介された場合、調整が難しくなってしまいます。
条件の違う職場を別々の派遣会社から紹介され、早々に選択しなければならない場面も出てきます。
例えば、A・B2つの職場を紹介されたとしましょう。
Aはおおよそ希望を満たしていますがすぐ働かなければいけません。BはAより好条件だが書類選考があり、Bは採用されない場合もあります。
急いで決断しなければいけない場面が増えれば増えるほどストレスになることは目に見えています。
メリットに目が行きがちですが、こういったときはどちらがデメリットが少ないかで選ぶことが重要になります。
オーバーワークになる可能性がある
休みなく働くことには注意が必要です。働き過ぎやストレスが原因で体調不良になり、職場を休むようになってしまっては元も子もありません。
掛け持ちで働く場合は、シフトの入れ過ぎには注意し、キャパオーバーにならないよう注意しましょう。
\正社員・パート・派遣 どの働き方にも対応/
薬剤師派遣会社/登録からの流れ
求人数が少ないうえ、自分の高い条件を満たしてくれる求人がなかなか見つからない。
登録している1社から、希望に合った求人はないと言われた。
派遣会社への登録は1社ではなく、複数の派遣会社に登録するのがおすすめです。
派遣会社によって登録されている派遣先が違います。
1社では希望する派遣先が見つからなくても、ほかの会社では見つかる場合があります。
派遣会社を利用するメリットは、求人の紹介から始まり、就業中、就業後まで専任コンサルタントの手厚いサポートを受けることです。
基本的に派遣会社への登録や相談は無料でできるため、まずは登録して希望の条件や働き方などを伝えてみると良いでしょう。
なお、本人と派遣会社との雇用契約は、派遣先が決まった時点で成立します。
派遣先が決まるまでは、双方との間に雇用契約は発生しないため、同時に複数の派遣会社に登録して相談することも可能です。
それぞれの派遣会社ごとに、コンサルタントの対応や福利厚生などにも違いがあります。複数登録して利用したうえで自分に合った派遣会社を選びましょう。
いざ「派遣会社に登録して仕事を紹介してもらおう!」と思っても、初めて派遣会社を利用する人には、どうやって登録するのか不安があるでしょう。
派遣会社に登録してから働くまでの流れを以下にまとめてみたので、ご覧ください。
登録~派遣で働くまでの流れ
1.薬剤師派遣会社へ無料登録(複数登録がおすすめ)
2,専任コンサルタントに希望条件・勤務期間・業種などを相談
3.派遣会社に希望に合った求人を紹介してもらう
4.給与や労働条件に納得ができたら、派遣会社と雇用契約を結ぶ
5.派遣先の職場で就業開始
6.就業中も職場でのトラブル・困ったことが発生した場合は、派遣会社のフォローが受けられる
まとめ
あるママ薬剤師から「自分はやはり継続的に患者さんと関わりたいから派遣は選ばない」と聞かされました。自分の仕事に対するスタンスが派遣という働き方とは合わないという判断です。
考えは人それぞれ。逆に家族の状況などを考慮して派遣が最適と思われる方も多いはずです。
どんな選択をするにしても願いはただ一つ。自分も家族も大切にできる働き方を選んで欲しいということです。この記事が少しでもそのお役に立てたなら嬉しく思います。
それでは記事のおさらいです。
- 希望の勤務地で働けるとは限らない
- 働ける職場が限られる
- キャリアアップ・スキルアップが難しい
- 即戦力としての働きを求められる
- ずっとおなじ職場にはいられない
- 勤務時間・働く期間を選べる
- サービス残業はない
- 時給5,000円の薬剤師派遣も!パートよりも高時給
- 人間関係のトラブルを回避しやすい
- さまざまな職場を経験できる
【派遣をする上で知っておきたいチェック事項3選】
【派遣会社について3選】
ママ薬剤師の仕事選びが順調に進むことを願っています。