新人薬剤師が病院見学前に準備しておくべき質問と心構えとは?

先輩が転職したのをきっかけに、「他の病院って、どうなんだろう?」と気になったことはありませんか?
思い切って病院見学に申し込んだものの、「何を聞けばいいの?」、「どこを見ておくべきなの?」と戸惑ってしまった薬剤師さんも少なくないようです。
この記事では、経験1年目~3年目の薬剤師さんが実際に見学で感じた「やってよかったこと」、「後悔したこと」などをもとに、見学で意識しておきたいポイントをまとめました。
Contents
見学したのに“見ただけ”で終わってしまう、よくある失敗


案内されるままに薬剤部や病棟を回って説明を受けて、「なんとなく雰囲気は良かったかな?」と、そのまま帰ってしまった経験はありませんか?
実際に見学をした薬剤師さんの中には、「何を見てきたのか思い出せない」、「質問を準備していなかったから、ほとんど情報が得られなかった」と、後悔する声もあります。
これではせっかくの見学がもったいないですよね。
病院見学は、受け身のままでは意味がありません。
その場で得られる情報には限りがあるからこそ、事前に「聞きたいこと」や「見たいこと」を準備しておくことが、見学の価値を高めるポイントになります。
実際に聞いてよかった質問5選とそこから分かること


実際に見学を経験した先輩薬剤師たちは、ある質問をしたことで“働く現場のリアル”が見えたと話しています。
「質問なんて緊張してできない…」という気持ちも理解できますが、事前に準備しておくことで、後悔のない見学にすることができます。
ここでは、そんな先輩たちが「これは聞いてよかった!」と実感した質問を5つご紹介します。
質問の背景やそこから分かったこと、見極めポイントまで詳しく書いていますので、自分なりの「聞きたいことリスト」を作るヒントにしてください。
① 1日の業務スケジュールはどうなっていますか?
病院によって、業務の進め方や時間配分はまったく異なります。
たとえば「朝から夕方までずっと調剤だけ」というところもあれば、「午前は注射調剤、午後から病棟業務に移る」というようにメリハリのある職場もあります。
この質問をすることで、1日の流れや仕事の密度が見えやすくなり、「忙しさの種類」や「体力的な負担」をイメージしやすくなります。
先輩薬剤師さんの中には、「“病棟業務あり”と求人に書いてあったのに、見学したら午後の30分だけでびっくりした」と言われている方もおられました。
こういった“実際は違った”という話は少なくありません。
特に経験の浅い薬剤師さんの場合、「1日中調剤業務で立ちっぱなし」や「病棟業務はベテランだけ」など、配属の偏りがギャップになることもあります。
▷ この質問で分かること
- 業務のリズム
- 休憩の取り方・タイミング
- 残業につながりやすい時間帯
- その職場の“忙しさの質”
こうした具体的な情報を聞いておくことで、「何となく忙しそう」ではなく、自分の1日の働き方をリアルに想像できるようになります。
② 教育体制はどのようになっていますか?
OJT(現場での実務指導)だけなのか、研修やフォロー制度があるのか、それともほぼ放置なのか…。
教育体制は、成長できるかに直結する大切なポイントです。
「一応OJTって言ってたけど、実際は“見て覚えて”だった」、「週1回のフィードバック面談があるって聞いて安心した」など、同じ“教育体制あり”でも、実態は全然違ったという話が多く聞かれます。
特に経験の浅い薬剤師さんにとって、「教わる環境があるかどうか」だけでなく、「どんなふうに教えてもらえるのか」がキャリアの土台になります。
「聞きにくい」、「質問しづらい」環境では、スキルも自信も身につきづらいのが現実です。
▷ この質問で分かること
- OJTとOFF-JT(集合研修)のバランス
- 教育担当が決まっているか
- ミスをフィードバックしてもらえる環境か
- 定期的な面談やフォローアップの有無
「成長したいけど、ついていけるか不安」という方こそ、具体的な教育の流れを確認しておくことが大切です。
③ 病棟業務に入るまでの期間とサポートは?
「半年で病棟に出られると聞いていたのに、実際は1年以上ずっと調剤業務だけ」、そんな声を聞くこともあります。
あらかじめ、どのタイミングでどんな業務に関われるのか、サポート体制はどうなっているのかを確認しておくと、入職後のギャップを防げます。
ここは特に、情報収集不足によるミスマッチが起きやすい部分で、「病棟業務に関われることが志望理由だったのに、全然チャンスがなかった」という後悔の声は意外と多く聞かれます。
一方、明確なステップが用意されている職場では、「〇ヶ月目でチェックリストをクリアすれば、先輩の指導つきで病棟へ」といった安心できるサポート体制があるところもあります。
▷ この質問で分かること
- 病棟業務の開始時期
- スキル到達度の基準
- 指導者の有無と付き添いの期間
- 希望を出せば通るのか、上司判断か
病棟業務を希望しているなら、「最短でいつ?」、「どうすれば行ける?」をはっきり聞いておくことがとても大切です。
聞きにくく感じるかもしれませんが、見学の場だからこそ聞ける質問でもあると思います。
④ 薬剤部の年齢構成やチーム体制は?
「働きやすさ」は、人間関係に大きく影響されます。年齢が偏っていると、相談しにくかったり、孤立してしまったりすることも。
「スタッフ全員がベテランで、最初は何も話しかけられなかった」といった経験をした薬剤師さんもおられるようです。
また、チーム制で動いているか個人主義かでも、「孤独感」や「学びやすさ」に違いがでてきます。
教育担当や上司の年齢、キャリアなども聞いてみると、モチベーションや雰囲気のイメージがしやすくなります。
▷ この質問で分かること
- 年齢層のバランス
- チームワークの強さ
- 教育や相談のしやすさ
- 上司や先輩との距離感
雰囲気や人間関係の良さは、実際に足を運んで感じる部分も大きいですが、質問することで“なんとなくの雰囲気”を言語化できることもあります。
⑤ 実際の残業時間とその理由は?
「定時は17:30だけれど、毎日1時間以上残っている…」なんて職場もあります。
その残業が一時的なものなのか、慢性的な人手不足なのかを知ることで、働き方の現実が見えてきます。
この質問のポイントは、「残業があるかどうか」ではなく、「なぜ残っているのか」、「改善の努力はされているのか」です。
理由を知ることで、その職場で働く将来の自分の姿を想像できるようになります。
▷ この質問で分かること
- 平均残業時間の実態
- 残業の主な理由
- 残業が一時的か慢性的か
- 残業代や代休の有無・取得のしやすさ
特に最初は、ただでさえ覚えることが多いため、毎日長時間の残業があると心身ともに疲弊してしまうというケースも少なくありません。
「残業があっても、皆で協力して終わらせている」、「毎月の残業時間が数値化されていて、超過しないよう配慮されている」など、取り組みの姿勢まで確認できるとベストです。
病院見学は、見るだけでは分からないことの方が多いです。
だからこそ、「実際に働くとどうなのか?」を具体的にイメージできるよう、現場で直接質問することがとても大切です。
今回紹介した5つの質問は、どれも実際に先輩薬剤師さんが「聞いてよかった」、「聞いていなかったらギャップがあったかも」と実感したものばかりです。
これらの質問を通して、「なんとなく良さそう」ではなく、「自分に合った職場かどうか」を判断することができるようになります。
事前に質問内容を準備して、未来のミスマッチを防ぐ武器にしてください。
数字では分からない「職場の空気感」を見るポイント


実は一番大切とも言えるのが、職場の雰囲気です。
「アットホームな職場です」と説明されても、スタッフ同士がほとんど会話をしていなかったり、逆に何も言っていなくても、自然な声かけや笑顔が飛び交ったりしている職場もあります。
こうした「言葉にならない空気感」は、実際に働くうえでのストレスに大きく関係してきます。
雰囲気チェックのポイント
- スタッフ同士で自然にあいさつをしているか
- 薬剤師同士の会話が活発か
- 質問に丁寧に答えてくれるか
- 病棟スタッフとのやり取りに距離があるか
見学は「情報収集」ではなく「見極めの時間」


何となく始めた見学でも、いくつか病院を見ていくうちに、「自分にはこんな職場が合っているかも」と気づく薬剤師さんはたくさんいます。
見学は、ただ情報を集めるだけの時間ではありません。
この環境が自分に合うかどうかを確かめるための時間です。
例えば同じ職場でも、「忙しいけど楽しそう」と感じる人もいれば、「忙しすぎて無理かも」と感じる人もいると思います。
同じ説明を聞いても、感じ方は人それぞれなのです。
だからこそ、事前に自分が大切にしていることを意識しておくことが大切です。
見学を重ねることで見えてくる「理想の働き方」


いくつか見学をすることで、自分が本当に望んでいる働き方に気づいたという薬剤師さんもいます。
こんな価値観に気づけたケースも…
- 調剤だけでなく、病棟にも関わりたい
- 相談しやすい雰囲気の職場がいい
- 若手でもチャレンジできる環境が合っている
こうした気づきは、ネットの情報だけでは分からないことがほとんどです。
実際に足を運び、自分の目で見て感じて、ようやく気づけることなのです。
まとめ


経験1年目~3年目の薬剤師さんが病院見学で意識したい4つのこと
- 見学は“受け身”ではもったいない、質問を準備して行きましょう
- 「業務内容」「教育体制」「人員構成」の3つは必ず確認しましょう
- 数字ではわからない“空気感”を自分の目で見て感じましょう
- 見学を重ねることで、自分の価値観や理想の働き方を見つけていきましょう
病院見学は、ただの案内ツアーではありません。
自分のこれからの働き方やキャリアを考えるための大切な時間です。
数時間の見学でも、そこでの気づきが、今後の職場選びやキャリア形成に大きく影響することもあります。
この記事が、より良い職場選び、そして納得のいくキャリアを歩むヒントになれば嬉しいです。
さらに、自分に合った病院や働き方を探すときに、複数の求人情報や職場のリアルな口コミを比較するのもおすすめです。
下記のリンクでは、薬剤師さん向けの転職支援サービスや職場ランキングなど、見学だけは得られない情報もチェックできます。
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情報収集と見学をうまく組み合わせて、後悔のない選択をしていきましょう。


