特養看護師の仕事内容と特徴メリットや向いている人を解説します
看護師さんが仕事を選択する上で、介護業界を検討する方も多いと思います。
介護系の仕事は様々な種類がありますが、この記事では特養について解説しました。
「特養ってよく聞くけど、どんな施設なんだろう?」
「特養の看護師の仕事は大変なのかな?」
「自分に特養は向いている?」
このような疑問がある看護師さんには非常に役立つ内容となっています。
ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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特養とは
略して呼ばれることの多い特養ですが、正式名称は「特別養護老人ホーム」といいます。
別名は介護老人福祉施設で、社会福祉法人や地方公共団体が運営する介護施設です。
入所者は、要介護度3以上の高齢者で、終の棲家として看取りまで暮らすことができます。
自宅での生活が難しい高齢者が、生活全般の介護サービスを受けられます。
食事から排泄、入浴まで身体的な生活サポートを提供する施設となります。
似たような名前の介護施設に介護老人保健施設があります。
こちらは略して「老健」と呼ばれています。
老健は、特養のように看取りまで入所することは出来ません。
入所期間は数カ月で、リハビリ等の支援をうけて自宅復帰を目指す介護施設です。
介護老人福祉施設(特養)と介護老人保健施設(老健)は、名称が似ているので間違えやすいです。
目的も看護師の仕事内容もまったく違いますので注意しましょう。
特養の種類
特養の種類にはユニット型と従来型の2つがあり、以下のような違いがあります。
ユニット型 | ・全室個室 ・プライバシーが守られる ・7~8室単位を1つのユニットとする ・それぞれのユニットに担当者が決まっている ・最近増えている介護スタイル |
従来型 | ・2~4人部屋 ・担当者は決まっておらず、介護職員全員で介護を行う ・昔からの介護スタイル |
ユニット型の特養が増えており、従来型は減少傾向となっています。
特養の看護師の仕事内容
特養の看護師のメインの仕事は、入所者の健康管理と生活の質を安定させることです。
入所者一人ひとりの健康状態を把握し、適切な医療サポートを提供することが求められます。
特養の看護師が行う具体的な仕事内容は、次のようなものがあります。
入居者の健康管理
• 健康評価とミーティングへの参加
入所者の健康状態を継続的にモニタリングします。
入所者の身体的な健康だけでなく、精神的なケアも必要になります。
また、必要に応じて医師や他の医療従事者とのミーティングへ参加します。
介護保険を利用しているため、ケアマネージャーを中心としたサービス担当者会議も必要です。
特養の看護師は、様々なミーティングへ参加して意見を言う役割もあります。
• 医療記録の管理
入所者の体調変化や使用薬などの医療情報を管理し、介護スタッフと情報共有をおこないます。
常に医療記録をアップデートすることで、緊急時には迅速で適切な対応が可能となります。
医療処置とケア
• 服薬管理
入所者の薬の管理をし、薬物治療が正しく行われるようにサポートします。
問題なく飲めているか、副作用は起きていないか等、正しく薬を使用できているか確認をします。
• 病状のモニタリング
入所者の健康状態を定期的にチェックします。
体調の変化を確認するために、毎日バイタルチェックを行います。
バイタルサインは、血圧、脈拍数、体温、SpO2を確認します。
その他、糖尿病であれば血糖値の測定など個別のチェックが必要な場合もあります。
• 傷のケアと処置
肌の状態を確認して、床ずれや湿疹などが起きていないかチェックします。
特に床ずれは早期発見が大切です。なるべく床ずれが起きないように予防をします。
床ずれが起きた場合には、医師に報告をおこない診察から治療のサポートをします。
緊急時の対応
• 応急手当と救急対応
突発的な体調不良やケガに対して、応急手当と救急対応をおこないます。
看護師は冷静かつ的確な判断をして、適切な措置をする必要があります。
• 医師や他の医療従事者との連携
重篤な症状や緊急の治療が必要な場合、迅速に医師や他の医療従事者と協力して対応します。
入所者および家族とのコミュニケーション
• 情報提供と相談への対応
入所者、家族と良好な関係作りをし、健康状態や治療について情報提供や相談に応じます。
入所者、家族とのコミュニケーションは非常に大切で、信頼関係の構築には欠かせません。
• 健康教育と予防
入所者や家族に対して健康に関する教育を行い、治療や予防のアドバイスをおこないます。
入所者本人だけでなく家族も学ぶことで、健康な生活を送るサポートが可能となります。
チームとの協力
• 他の医療スタッフとの協力
看護師は医師、介護スタッフ、栄養士、ケアマネージャーなど他の専門職と協力します。
入所者にとって最良のケアを提供するためのチームプレイが求められます。
• 施設の運営に参加する
施設の運営にも参加し、安全で効果的な医療環境を確保するために他のスタッフと連携します。
入所者が快適に過ごすためには、施設内のスケジュール調整や品質管理も大切な仕事です。
入所者の健康管理だけではなく、施設全体の運営についても協力する姿勢が求められます。
看護師の人員配置
特別養護老人ホームの看護師、介護職員の人員配置基準は3:1となっています。
これは入所者3名に対して1名の人員が必要ということです。
入所者が60人いる場合、20人以上のスタッフが必要になります。
人員配置基準を満たしたうえで、最低でも常勤の看護師1名が必要です。
1日のタイムスケジュール
特養で働く看護師さんの1日のスケジュールは、どのようになっているのでしょうか?
施設によって多少の違いはありますが、一般的なタイムスケジュールは次の通りです。
8:00 | ・出勤 ・昨夜の申し送り(夜勤の職員から連絡事項の確認をする) |
8:30 | ・入所者のバイタルサインの確認 ・朝の投薬や軟膏の塗布、点眼や胃ろうなどの医療ケア |
10:00 | ・日常生活の援助 ・昼の薬の確認と準備 |
11:30 | 食事介助 |
12:30 | 休憩 |
13:30 | 口腔ケア、定期的な医療ケア |
15:30 | レクリエーションの補助、入所者の体調確認、看護記録作成 |
16:30 | 申し送り(夜勤のスタッフへ情報の提供と共有をおこなう) |
17:00 | 退社 |
特養の看護師さんの一般的な1日のスケジュールはこのようになっています。
夜勤のタイムスケジュールはどうなっているの?と気になった方もいると思います。
しかし、特養の看護師さんには、夜勤が無いのが一般的です。
そのため、病院に勤務する看護師さんと比べると働きやすいというメリットがあります。
特養の看護師に向いている人
特養の看護師さんに、自分が向いているのかどうか?気になるところだと思います。
次のような人は、特養の看護師さんに向いています。
自分に当てはまるかどうか確認してみましょう。
入所者さんに寄り添い長期で看護したい人
特養に入所している高齢者の多くは、終の棲家として施設で生活をしています。
体調が良くなったら退所する病院や老健とは違います。
人生の最後を迎えるその時まで健康管理を行う必要があります。
そのため、入所者の方々に寄り添い長期間にわたり深く関わりたい。
落ち着いて特定の方々の看護をしたい人には、特養の看護師さんは向いています。
多職種連携ができる人
特養には介護士、栄養士、ケアマネージャーなどの様々な職種の方が働いています。
また、施設内だけで業務が完了しません。
診察や薬の処方は外部の医師が行い、薬は薬局が調剤します。
入院が必要な時には、大きな病院への入院手続きを行う必要があります。
このように、特養の看護師は多くの職種の人たちと連携を取る必要があります。
看護師の立場から、他の職種の方々とコミュニケーションをスムーズに取れる人に向いています。
病院経験のある看護師さん
特養には医師が常駐していません。
そのため、入所者の体調変化の確認や薬の使用は、看護師が責任をもっておこないます。
医師の受診をするべきか、どのような医療ケアを行うべきか判断をする必要があります。
そのため病院での看護経験は、特養の業務において非常に役に立ちます。
仕事のオンオフをしっかりしたい人
特養の看護師さんの勤務体制は、日勤のみです。病院とは違って夜勤がないことが特徴的です。
そのため、生活のリズムが規則的で仕事のオンオフがしっかりしています。
不規則な働き方をしたくない看護師さんにとって、特養の仕事は向いています。
まとめ
特養の看護師さんの仕事内容と働き方について、詳しくお話してきました。
特徴的なこととして、特養の入所者は施設を人生最後の生活の場としていることです。
生活のすべてを見守る看護師さんの仕事は、責任はありますがやりがいも大きいです。
また、勤務体制が日勤のみというのも特徴的です。
24時間体制の施設ですが、夜勤がなく規則正しい生活ができる魅力的な職場と言えます。
一般的に介護施設は、経営が厳しいと言われています。
しかし、特養の経営母体は社会福祉法人や地方自治体であり安定しています。
特養で働くことは、看護師にとって多くのメリットがあると言えるでしょう。
興味のある方は転職先の一つとして検討してみても良いのではないでしょうか。