地域医療にとって薬剤師は必須である!その役割について探ってみた!
我々が暮らす地域では、様々な人たちがいるからこそ生活できています。
その中でも、やはり医療の存在というのは、欠かすことができません。
病院の先生がいるから、体の不調を感じたら駆け込むことができます。
同時に、薬剤師がいるからこそ、薬を調剤してくれて、それを使用することができる。
医療というのは、我々の生活にはなくてはならない存在です。
現在の日本では、少子高齢化の問題は避けることができず、様々な議論が後を絶ちません。
地方では、人口はどんどん減ってそこに住む人々の高齢化が進んでいます。
高齢化が進めば、医療の負担も増え、薬剤師も求められる役割が増えてくるかと思います。
そこで今回は、現時点での薬剤師の役割を振り返って確認します。
加えて高齢化が進むにつれて地域はどんな形になっていくか?などについても解説していきます。
薬剤師の具体的な役割
・処方箋に書かれた薬の調剤及び薬の服薬指導
病院の先生から、服用する薬が書かれた処方箋は薬局にもっていき、薬剤師にお渡しして薬を調合してもらいます。
薬剤師は、幅広い薬の知識を持ち合わせており、的確に薬を調合していきます。
この仕事は、薬剤師にしかできないので、それだけでもスペシャリストであることがわかりますね。
・第一類医薬品・要指導医薬品の販売
第一類医薬品は、服用するときに特に注意が必要となる医薬品です。
副作用を防ぐためにも、薬剤師が説明して確認をしたうえで販売されます。
副作用が起きますと、日常生活に支障を及ぼすため、安心安全のためにも薬剤師が随時対応する必要があります。
また、自身の体質に合うかどうかもそこで相談することもでき、セルフケアなどのサポートもしてくれます。
・健康相談や薬を選ぶ時のアドバイス
薬局には、たくさんの薬が並べられています。
パッケージの裏には、成分表などが細かに書かれていますが、それを見分けられるようになるにはある程度の知識が必要です。
そこで、わからないことがあったとしても、薬剤師がいれば気軽に相談などを聞いてくれます。
自身の求めていることを聞けば、薬の選別も手助けしてくれます。
他にも、適正な販売を始めとしたセルフケアなどの啓発も行ってくれますので、病院の先生よりも身近な存在ですよね。
もちろんこれだけではなく、地域に求められる薬剤師の仕事やサービスは多岐にわたります。
そのため、単独の薬局やそこに勤務する薬剤師だけで行うのは容易ではありません。
冒頭で述べた通り、これからの時代は少子高齢化で人口が減っていく中で、地域全体で健康維持をサポートしていく必要があります。
地域包括ケアシステムにおける薬剤師の役割
地域包括システムとはなにか
地域包括ケアシステムとは、地域全体で包括的な支援・サービスを提供する体制のことです。
高齢者が、住み慣れた土地で、自分らしい暮らしを続けることができる目的で考えられました。
なぜできたのか?
総務省統計局によりますと、現在総人口のうち、65歳以上の人口は3600万人を超えています。
2040年には約3900万人を超える、という統計データが上がっています。
その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想され、日本の高齢化のスピードは周辺諸国よりも速い速度となっています。
このような状況の中で、団塊の世代が75歳以上になる2025年を目途に、高齢者が可能な限り住み慣れた土地で自立して生活できる。
地域包括システムとは、日常生活の支援が包括的に行えるように考えられた体制です。
主な具体例
日常生活の支援には5つの要素(住まい・医療・介護・予防・生活支援)が連携し、地域住民をサポートすることが求められます。
「住まい」は高齢者のプライバシーと尊厳を守るため。
その住まいで安心して生活を送るための「生活支援・福祉サービス」が土台となっています。
その上に専門職である「医療・介護」「介護・リハビリステーション」が相互的に連携を行いサービスを提供する。
これにより、地域の自主性や主体性に基づく地域の特性に応じて作り上げることが可能になります。
参照記事「地域包括ケアシステムの構築」厚生労働省
その中で薬剤師の役割とはなんだろう?
このように相互的な輪を広げて体制が構築されますが、では薬剤師はどうかかわっていけばいいでしょうか?
実際に、薬剤師が患者さんとお話をする時は、薬の調剤後になります。
カウンターでお薬を渡し、薬の効能を説明する際に、患者さんとお話しする機会が訪れます。
ほかにも、薬の相談をするときも相談に乗ってくれたり、薬の選び方をサポートしてくれます。
ということは、薬剤師の存在は、地域包括ケアシステムの中で、最も患者さんと距離が近く気軽に相談できる役割を担います。
それにはまず、地域の人達と対面で接し合い続けることが必要になってくると思います。
人間は、同じ人と会う頻度が高くなるほど信頼感が増します。
患者さんからすれば、この薬局の薬剤師がいつもいるから安心できるはず。
もし地域の人の薬の相談を受けたら、何らかの病を患っている場合に、その話を受けることで分かるかもしれない。
加えて、薬の知識があれば、地域包括ケアシステムの他の先生に相談することができます。
なので、薬剤師は、5つの要素の中の橋渡しともいえる存在になれるかと思います。
持っておくといい資格
地域薬学ケア専門薬剤師
「地域薬学ケア専門薬剤師」とは、幅広い薬物療法に関する知識と能力が問われる資格です。
また、地域包括ケアなどの地域医療や、他職種と連携して患者様の療養をサポートする業務の資格です。
地域医療や、介護の現場で活躍している薬局薬剤師を「地域薬学ケア専門薬剤師」として認定する目的で創設されました。
参考文献「地域薬学ケア専門薬剤師制度 制度概要」一般社団法人日本医療薬学会
認定要件
1.日本国の薬剤師免許を有して薬剤師として優れた人格と見識を持っていること
2.実務経験が5年以上であること
3.本会員を5年以上継続すること
4.
・日本薬剤師研修センター
・研修認定薬剤師
・日本病院薬剤師会
・日本薬剤師会、生涯学習支援システム(JPALS)・クリニカルラダー5以上
・その他本学会が認めた認定制度
以上の制度の中でどれか一つの認定を受けていること
5.研修施設で研修ガイドラインに従って地域薬学ケアに関する5年以上の研修歴をもっていること
6.薬物療法集中講義などのクレジットを5年で50単位以上履修すること
7.薬物療法専門薬剤師集中講義を1回以上の参加
8.学会年会に1回以上の参加
9.自ら実施した5年の薬学的管理を行った症例報告が50症例(4領域以上の疾患)を提出すること
10.学会の発表を2回以上(年会で本人が筆頭発表者となった発表を含む)、または論文発表を一回する(筆頭)
11.専門薬剤師認定試験に合格すること
参考文献「地域薬学ケア専門薬剤師認定制度規定」日本医療薬学会
在宅医療支援認定薬剤師
在宅医療に関する【知識】【技能】【態度】を備えた薬剤師を認定する資格のことです。
他職種が協働する中で、薬剤師としての技能を活かし、多角的な視点を持って患者を見守る役割を担います。
また、薬剤師の立場から、地域医療を俯瞰的に観察したうえで、薬物療法の適切な使い分けを行うことが重要となってきます。
「在宅医療支援認定薬剤師」の資格があれば、地域の他職種協働のチームの中でも薬剤師としての職能を発揮することができます。
参考文献「総評~第10回在宅医療支援認定薬剤師認定試験を終えて~」一般社団法人 日本在宅薬学会
認定条件
1.日本国の薬剤師資格を有し、3年以上の薬剤師実務経験があること
2.薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師または日本医療薬学会認定薬剤師であること
3.在宅業務の実践による5事例の報告を提出すること
4.日本在宅薬学会主催の学術大会に参加していること
5.バイタルサイン講習会を受講していること
参考文献「在宅医療支援認定薬剤師認定試験 申請資格」一般社団法人 日本在宅薬学会
認知症研修認定薬剤師
「認知症認定薬剤師」とは、認知症領域における薬物療法の知識と技能を持っていることを証明する資格です。
また、認知症の人とその家族に、薬学的視点を踏まえた適切な助言及び対応ができる薬剤師の養成を目的とした制度のことです。
認定条件
資格の取得条件は以下のようになっています。
① 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えていること。
引用:一般社団法人日本薬局学会認知症研修認定薬剤師制度規程 日本薬局学会
② 本学会の正会員であること。
③ 薬剤師としての実務の経験を3年以上有すること。
④ 本学会が指定する認知症領域のe-ラーニングを20単位以上有していること。
⑤ 本学会が認定するワークショップで6単位有していること。
⑥ 認知症サポーターを取得していること。
⑦ 認知症の人への介入事例を1例以上3例まで提出すること。
⑧ 別途実施細則に定める認定試験に合格していること。(合格認定証を添える)
⑨ 薬剤師認定制度認証機構等で認められた研修認定薬剤師を取得していること。(※)
⑩ 職場長(薬剤部科長あるいは薬局長等)の同意があること。
⑪ 上記の認知症領域のe-ラーニング、ワークショップで単位取得開始後、4年以内に申請すること。
※公益社団法人薬剤師認定制度認証機構(CPC)でご確認下さい http://www.cpc-j.org/
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、地域医療における薬剤師の役割について書いてみました。
人口が減り続けると、ますます単独の力だけでは困難な状況になっていくと思います。
人が少なくなるからこそ、こうした横のつながりのネットワークを作れば、きっと今よりも暮しやすくなるはず。
自分が生まれ育った地域に居続けることはとても心地よいと思うので、こうした社会作りを目指していければいいなと思いました。
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