知らないと後悔する?ドラッグストア薬剤師のデメリット4つ
「俺は(私は)ドラッグストア薬剤師になる!」
そう強く願って薬学部に入ったという薬剤師に会ったことはありますか?
薬剤師といえば病院や薬局が主な就職先であり、実際に薬学部を卒業して就職した薬剤師の半分以上は病院や調剤薬局で働いています。
ドラッグストア薬剤師は収入や需要が比較的高く、最も身近な医療者として地域の方々の健康を支えるやりがいもある仕事だと思います。ただ、ドラッグストア薬剤師の仕事は一般的な薬剤師の仕事とのギャップがあるため、ドラッグストア薬剤師を目指して薬学部に入る人はまずいません。
薬剤師が主人公として取り上げられたと話題になったアンサングシンデレラというドラマでは、ドラッグストア薬剤師として小野塚(成田凌)がでてくるのですが、彼は奨学金返済のためにドラッグストア薬剤師を選んでいます。ドラッグストア薬剤師として理想と現実のギャップに苦しむ姿に胸を痛めた人もいたのではないでしょうか。
ドラッグストア薬剤師は薬剤師として働く1つの選択肢ですが、目指す人が少ないのはドラッグストア薬剤師ならではのデメリットがあるからです。今回はそのデメリットを解説し、そのうえでドラッグストア薬剤師という道を選んでも後悔しないための対策を解説していきます。
ドラッグストア薬剤師のデメリット4つ
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① 薬剤師の専門性が積み上がりにくい
薬学部で学ぶのは主に医師の処方箋をもとに調剤する「医療用医薬品」です。
薬剤師は医療用医薬品を安全に効果的に使うための勉強を薬学部でしていますが、ドラッグストアではその知識を使う機会が少なくなります。勉強会のお知らせなども病院や薬局に比べると少ないため、使わない知識はどんどん薄れていきます。
また、高度な知識と技術を有する証明となる認定薬剤師、専門薬剤師などの資格をとるのは現状ドラッグストア薬剤師ではほぼ不可能です。そもそも「申請時において病院または診療所に勤務している」事が申請の条件になっている資格などもありますし、「薬物療法の有効性または安全性に直接寄与した症例」などをドラッグストアで探すのは大変です。
更新が必要な資格だとさらに難易度はあがります。
そして頑張って取得したとしても、評価されるかはわかりません。
対策
新卒でドラッグストア薬剤師になった場合、医療用医薬品の使用経験が積みあがらないため、その後病院や調剤薬薬局に転職したいと考えたと時に難しくなってしまいます。
ドラッグストア以外の選択肢を考えてないのなら別ですが、最初は薬剤師の専門性を高められる職場への就職を検討しましょう。新卒でドラッグストアへの就職を考えているなら調剤薬局併設タイプのドラッグストアを選ぶのがよいでしょう。
また、ドラッグストアで資格を取るなら薬剤師の資格にこだわらず、その職場で必要とされそうな資格を探しましょう。
② 市販薬などの勉強が大変
ドラッグストア薬剤師になると「風邪気味だけどいい薬ない?」、「子供が飲める熱さましは?」など市販薬の相談を受けることがあります。
また、「肌にやさしい絆創膏は?」など薬とは関係ないことも聞かれるかもしれません。
ドラッグストアで手に取れる薬は市販薬と言って、処方箋なしで買える薬です。病院や調剤薬局では処方箋が必要な医療用医薬品に関する知識は積み上げられますが、市販薬に関する知識はほとんど身に付きません。
なぜなら病院に入院した人は市販薬を使わないからです。もし使っていたとしても中止になりますし、入院中に市販薬を買う人もいません。
調剤薬局は市販薬を置くようになってきていますが、スペースの問題もあり必要最低限といったところが多く、品ぞろえはドラッグストアに及びません。
また、医療用医薬品の場合は医師が診断して薬をだしてくれますが、ドラッグストアでは個人の訴えをもとに薬剤師が薬を選ぶ必要があります。
複数ある風邪薬や胃薬の使いわけ、絆創膏や化粧品の特徴などを把握してその人にあったものをお勧めするためには病院や薬局とはまた違う知識を求められます。そしてその知識は自分で身につける必要があります。
商品を置いている以上「そんなの知らないよ」とは言えないのがつらいところです。
対策
市販薬や化粧品など医薬品以外にも興味があるか考えてみましょう。興味はあるけど知識には自信がないという場合は研修制度などがしっかりあるところを検討するとよいでしょう。
ぴったりの商品をお勧めすることができたら、「困ったときはまたあの薬剤師さんに相談してみよう」とリピーターになってくれるかもしれません。
③ 医薬品関連以外の仕事も求められる
病院や薬局での薬剤師の仕事は主に調剤と服薬指導ですが、ドラッグストアではそれ以外に商品の品出しやレジ応対、チラシの準備や商品陳列の変更など医薬品関連以外の仕事も多数あります。
バイトでドラッグストアに勤めたことのある薬剤師から聞いた話なのですが、セールのときは忙しくてひたすら品出しをしており、「なんのために薬剤師の資格とったんだっけ?」とむなしくなったそうです。
診療報酬が主な収入となる病院や薬局と違い、ドラッグストアでは商品を販売することが利益につながります。プライベートブランドのPRなど、一般的な薬剤師が触れることのない仕事もあり、販売目標が設定されることもあるようです。
ドラッグストアに薬剤師の求人があるのは、薬剤師がいないと売れない薬があるからです。薬剤師がいても薬が売れないのであれば薬剤師を雇う意味がありません。
ドラッグストアによっては品出しなどの仕事は薬剤師にさせない方針のところもありますが、店員の一人として売り上げに貢献することを求められているということは忘れないほうがよいでしょう。
おすすめできる商品を選び、買っていただくまでの流れをスムーズにするための仕事を求められるのは覚悟しておきましょう。
対策
まずは自分の希望する仕事内容と会社の方針を確認しましょう。品出しなどは薬剤師の日常業務に入っていないところもあります。
どうしても体力的、能力的に避けたい業務がある場合は相談してみましょう。売り上げにその他の方法で貢献できるのであれば交渉の余地はあると思います。
調剤薬局併設のドラッグストアで調剤専門の部署にしてもらえば、医薬品関連以外の業務はせずに済む可能性もあります。
売り上げアップのために品ぞろえを考えたり、商品配置を工夫したりといろいろ対策を考えてみたい、薬剤師以外の仕事もしてみたいという人はドラッグストア薬剤師に向いています。
④ 忙しい、土日休みがとりにくい
ドラッグストアは営業時間が長く、土日、祝日もあいているところが一般的です。そのため、週休2日や4週8休などのシフト制を採用しているところが多いです。
遅番のあるシフトでは生活リズムが不規則になりがちですし、20時以降などはシフトの人数が少なくなるため、一人薬剤師となることもあります。一人の時にいろんな仕事が重なると仕事が終わらずに残業せざるをえなくなる可能性もあります。立ち仕事が多いので体力的にもきついと感じると思います。
また、土日やゴールデンウィークなどの大型連休は休みたいと考える人が多いため、休みがとりにくくなるでしょう。薬剤師の多い大手のドラッグストアを選んだとしても、休みが取れるとは限りませんし、逆に休みが多い時には穴埋めのために他店舗にヘルプに行くことになるかもしれません。
家の近くで薬剤師の人数が多い店を選んだはずなのに、別店舗に応援に行かされてばかり、忙しいし通勤も想定以上に大変になるという可能性も頭に入れておく必要があるでしょう。
対策
勤務時間、休みの取り方などについて事前に確認しておきましょう。
複数店舗がある場合は転勤や店舗間のヘルプの可能性も確認しておくと「落ち着いた所を探したのに結局ヘルプとして忙しい店舗で働くことがある」などと後悔する可能性を減らせるでしょう。
正社員では難しいですが、パート勤務であれば土日休みで遅番なしなどのワークライフバランスのとれた働き方もできるかもしれません。
まとめ
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ドラッグストア薬剤師には4つのデメリットがありますが、しっかりと対策することで望んだ働き方ができ、収入がUPする可能性もあります。
デメリットは見方を変えればメリットにもなります。
ドラッグストアで薬剤師の専門性を積み上げたいなら調剤薬局併設のドラッグストアを選べばカバーできるでしょう。薬剤師にしかとれない難易度の高い資格はあえて取る必要がないので、勉強時間はドラッグストアで生かせる資格のために使えます。
市販薬などの勉強は大変ですが、幅広い知識を手に入れることができます。
夏は虫刺され対策、冬は乾燥対策などニーズを考えて売り場の配置を工夫したり、POPを作ってみるのも楽しいかもしれません。おすすめした商品に対して「あれ、良かったわ」と言われた時のやりがいは大きいでしょう。
「平日休み最高じゃん。バリバリ稼いでオフシーズンに旅行いきたい」と考えられる人であれば、土日休みにこだわる必要もありません。
ドラッグストア薬剤師に限りませんが、仕事選びで後悔しないためには「自分の望む条件が満たされているか」が大事です。
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