あなたは悪くない!看護師がバーンアウトに気づいたときの向き合い方

自分はバーンアウトかもしれないと思ったら、決して自分を責めないで、信頼できる人に相談しましょう。
上司や先輩に態度を悪く見せないようにしないと。


患者さんに感じの悪い看護師と思われたくない。


人の顔色をうかがいながら生活をしていると、疲れてしまいますよね。
バーンアウトとは、「燃え尽き症候群」とも呼ばれ、今まで仕事熱心だった人が、前触れもなく燃え尽きたかのように意欲を失ってしまう状態をさします。
- 最悪、休職や離職をしてしまうことも。
看護師など、対人サービス職に多く見られ、周囲に気を使いすぎる優しい人ほどバーンアウトを発症しやすいです。
対処法を紹介するので、現在あなたがバーンアウトになりかけている場合は、早めの対処を行ってください。
回復したあとも再発防止のために、セルフケアをしっかり行いましょう。
Contents
バーンアウトが引き起こす3つの症状


バーンアウトは、継続的な心身の消耗状態をさします。一時的な疲労や意欲の低下とは異なり、とても深刻なもの。
悪化すると、日常生活にも支障が出てしまうので、早めの対処が必要です。
3つの代表的な症状を紹介するので、あなたに当てはまっているものに注目してみてください。
情緒的消耗感
心身ともに疲れ果て、朝も起きるのが辛いほどになってしまう情緒的消耗感があります。
やらなければならないと頭では考えていても体が動かず、行動できない自分を責めてしまうことも。
優しすぎて思いやりのある看護師は、患者さんに対してものすごく気を使ってしまうことはありますよね。


常に失礼のないようにと張り詰めた気持ちでいます。
患者さんに対して感情のエネルギーを使ってしまい、精神的な疲弊からバーンアウトにつながります。
脱人格化
脱人格化とは、患者さんなどに対して機械的・事務的な対応をしてしまう症状をさします。具体例を見てみましょう。
- 患者さんと世間話などの楽しい会話をしない
- 患者さんに対して冷たい態度を取る
- 患者さんの名前を呼ばなくなる
- 難しい専門用語で話をする
- 事務作業に徹する
周囲からはもちろん、自覚症状としても性格の変化に違和感を覚えるケースもあります。
なんだか最近、笑う回数が減ってきた気がする…。


普段はとても優しく穏やかな性格なのに、急に冷たくなったなど知人から言われることはありませんか。
個人的達成感の低下
仕事にやりがいや達成感を感じられなくなり、バーンアウトに陥るケースもあります。
努力を重ねても成果がなかなか見えてこないと、自己肯定感の低下や自信喪失につながり、仕事もはかどりにくくなります。
私なんかがいてもいなくても変わらない…。


最悪の場合、自分の存在価値が分からなくなってしまうことも。
今まではやりがいを感じていた業務に対しても、無関心になってしまいます。
- 例えば、患者さんに言われて嬉しかった感謝の言葉が、心に響かなくなったなど。
バーンアウトの原因は大きく分けて2つ


バーンアウトの原因には、性格などが原因となる「個人要因」、職場が作り出す環境による「環境要因」があります。
真面目で優しすぎる性格だと仕事も断れず、残業続きで勤務時間の多い環境の中で働く看護師もいるのでなないでしょうか。
大きく分けた2つの要因について詳しく説明するので、あなたに当てはまる場合は注意してください。
個人要因
性格や価値観などが原因で、バーンアウトを発症してしまう場合があります。具体的な性格の例を挙げるので見てみましょう。
- 真面目で責任感が強い
- 仕事や要求を断れない
- 完璧主義
- 弱音を吐けない
- 相談相手がいない
優しすぎる性格を持った看護師には、上司から依頼された仕事や患者さんからの要求を断れず、悩む方は多いですよね。
自分のことは後回しにして、他人のために行動してしまう看護師ほど消耗しやすくなります。
さらに、相談したり弱音を吐ける相手がいない場合は、1人で抱え込んでしまい、バーンアウトに陥る傾向が高くなりますよ。
環境要因
勤務時間が多かったり、対人関係などの職場環境が原因でバーンアウトを発症する場合があります。具体例を表にまとめてみました。
| 考えられる環境 | 例 |
|---|---|
| 業務時間の増加 | 慢性的な人手不足で残業が続く |
| 急な変化 | 緊急事態/新しいシステムの導入/配置転換 |
| 対人関係 | 正当に評価されない/いじめや仲間外れ |
日々の負担が大きいと、モチベーションが低下していき、バーンアウトになりやすくなります。
看護師は、患者さんの安全を考えながら限られた人数で多くの業務をこなさなければなりません。
依頼された仕事を断れず、残業や夜勤が続いてしまっている方は、注意してください。
自分はバーンアウトかもと思ったら


もしかしたら私はバーンアウトなのかな?


自分がバーンアウトかもしれないと気付いたときには、気持ちの向き合い方を思い出してください。
優しくて他人を優先してしまうあなたは、自分を責めてしまったり、1人で抱え込んでしまう可能性が高いです。早めに対処をするためにも、試してみましょう。
自分を責めない
自分はバーンアウトではないかと感じても、決して自分を責めず、客観的にストレスや悩みの原因を分析してください。
バーンアウトは看護師など、医療機関で働く方は特に発症しやすいと言われています。まずは、ストレスの要因を把握し、一つ一つ対応していきましょう。
バーンアウトの要因として、「個人要因」と「環境要因」を挙げましたが、それぞれに対処法があります。
- 個人要因…自分の性格やストレス解消方法を見直す
- 環境要因…職場に対して一線を引く
自分を責める前に、あなたのストレス要因を明確にすることから始めてみてください。
周囲に辛い気持ちを打ち明ける
信頼できる人に辛い気持ちや悩みを話すのも選択肢の1つです。辛い気持ちをぶつけるだけでもガス抜きになり、言葉にすると悩んでいる内容が整理できます。
同僚や患者さんに気を使いすぎてしまい、疲れているのが大きな悩み。


まずはあなたにとって最も身近で話しやすい人に相談してみましょう。
バーンアウトから回復するための対処法


バーンアウトを発症してしまった際の対処法は様々です。代表的な3つの対処法をピックアップしました。
あなたに合った方法を選び、試してみてください。
休養の時間を取る
休職や多めの有給取得など、長期の休暇を考えてみてください。
仕事が終わったあとに休むだけでは、疲労は十分に取れません。さらに、バーンアウトの状態で仕事をすると、判断力が鈍くなり仕事の効率も下がります。
- しばらくの間、仕事から距離を置いて心身を回復させると、冷静な判断ができるようになりますよ。
休職を決めた場合は、専門医の診察をしっかり受ければ診断書を発行してもらえるので、正式な病気休暇として扱ってもらえます。
上司や専門家に相談をする
上司や専門家に相談した際には、それぞれ大きなメリットがあります。
| 相談相手 | メリット |
|---|---|
| 上司 | 業務量やシフトの調整、休暇について考えてもらえる |
| 専門家 | 専門的なアドバイスを受けられる |
相談は決して恥ずかしいことではありません。今の状況を改善するためにも1人で抱え込まず、周囲に助けを求めてください。
転職も検討する
思い切って転職を考えるのも1つの手です。休職のあとには3つの選択肢があります。
- 復職
- 配置転換
- 転職
少しでも転職を考えている看護師はナースパワーへ
転職について抵抗を感じている看護師はたくさんいるかと思います。
憧れていた看護師になれたのに、辞めてしまうのはもったいない。


看護師に多い転職の例を見てください。
| 転職前 | 転職後 |
|---|---|
| 急性期 | 回復期・慢性期 |
| 病棟 | 外来・訪問看護 |
| 看護師 | 産業保健師 |
診療科を変えるなどの選択をすれば、転職をしても看護師そのものを辞めなくて済みますよ。
転職は、将来のキャリアが見える良い機会であり、バーンアウトの経験があなたにより適した職場を見つけてくれる可能性にも。
- バーンアウトの再発を防ぐためにも、自分の働く意欲をキープできる職場であるかをしっかり見極めてください。
あなたの転職方法が分かる!看護師転職サイトベスト3
バーンアウトを予防するセルフケア


バーンアウトを予防するためには、日頃からのセルフケアが必要です。
現在バーンアウトに苦しんでいるならば、同じ苦しみを二度と味わいたくないですよね。
あなたに合ったセルフケアを見つけて、回復したあとも再発防止に役立ててください。
規則正しい生活を意識する
3食の食事と十分な睡眠を取って、規則正しい生活を心がけましょう。とはいえ、夜勤のある看護師にとって、毎日同じ時間に食事や睡眠は取りにくいですよね。
看護師が規則正しい生活ができるよう、夜勤前後・夜勤中の食事や睡眠方法を紹介します。生活リズムを整えるためにも参考にしてください。
夜勤前に寝だめをしない
睡眠は夜勤前にするのではなく、夜勤の休憩時間などに短時間でも仮眠を取る方が生活リズムが整います。
寝だめはかえって睡眠の質を下げてしまうのでおすすめしません。
夜勤時間外の昼にたくさん寝るより、夜勤中の夜に短時間の睡眠を取ると昼と夜のメリハリがつきやすくなります。
- 夜勤中の睡眠は、22時から翌朝6時、最低10分間を心がけましょう。
万が一夜勤前に眠くなった場合は、19時を避けて2時間程度の仮眠で済ませてください。
夜勤明けの睡眠は午前中に
夜勤明けに睡眠を取る際には、午前中に2時間の仮眠で済ませましょう。午後はできるだけ活動し、夜に寝る生活に戻すと体内時計がリセットできます。
睡眠前後のポイントを見てください。
- 睡眠前…サングラスや帽子で日光を遮断/スマートフォンは見ない
- 睡眠後…太陽の光をたくさん浴びる/可能な限り普段通りの生活をする
日光やスマートフォンの光は、脳を覚醒させてしまうので睡眠前には注意しましょう。
- 夜は早めに寝るとより体内時計のリズムを改善できます。
夜勤中の食事について
食事はバランスの良いものを心がけ、できるだけ普段と同じ時間に済ませてください。
深夜の食事は、胃腸障害や生活習慣病のリスクにつながるので、19時から22時を目安にしましょう。
おにぎりやパンだけでなく、サラダやスープなどを加えると、バランスの取れた食事になります。
仕事とプライベートを線引きする
仕事終わりや休日は、仕事について一切考えないなど、プライベートとしっかり区別をしましょう。
しかし、仕事の悩みや不満はなかなか消えないもの。簡単に忘れられたらどんなに良いかと思う人もいるかと思います。
今日は休みなのに、昨日患者さんに怒られたことを思い出してしまう…。


プライベートを充実させるためには、趣味などに没頭する時間を作ってみてください。
患者さんとの距離感を意識する
患者さんとある程度距離を置くと、情緒的エネルギーの消耗を防止します。
優しすぎるあなたは患者さんに寄り添い、感情移入をしてしまうことはありませんか。
患者さんと距離を取ると、精神面の疲労を防ぐだけでなく、客観的に物事を判断でき、仕事も効率よく進みます。
患者さんへの共感は大切ですが、あなた自身のケアも忘れないでください。
目標設定を低くする
目標を高く設定してしまうと、なかなかゴールにたどり着かず、達成感を得られなくなります。自信喪失につながり、バーンアウトへ陥ってしまう可能性も。
目標は低く設定しましょう。小さな目標でも1つずつクリアし、成功体験が積み重なっていくと大きな自信につながります。
患者さんと上手な会話を心がけるより、笑顔を向けることを最初の目標にしよう!


あなたの目標設定が高すぎていないか、もう一度見直してみてください。
まとめ


看護師などの対人サービス職に勤務している人は、バーンアウトに陥りやすい傾向があります。
優しすぎるが故に、同僚や患者さんに気を使ってしまい、バーンアウトになりかけているあなたも注意してください。
まずはあなたの悩みを客観視し、対処法を考えていきましょう。
バーンアウトが引き起こす3つの症状
- 情緒的消耗感
- 脱人格化
- 個人的達成感の低下
バーンアウトの原因は大きく分けて2つ
- 性格が起因する「個人要因」
- 職場環境による「環境要因」
自分はバーンアウトかもと思ったら
- 自分を責めない
- 周囲に辛い気持ちを打ち明ける
バーンアウトから回復するための対処法
- 休養の時間を取る
- 上司や専門家に相談をする
- 転職も検討する
バーンアウトを予防するセルフケア
- 規則正しい生活を意識する
- 仕事とプライベートを線引きする
- 患者さんとの距離を意識する
- 目標を低く設定する
バーンアウトしてしまっても、決してあなたは悪くありません。自分を責めず、信頼している相談相手を見つけて、悩みや辛さを話してみてください。
あなたの未来は必ず良い方向へ進みますよ。

